Aave V3で過去の利子履歴を追跡する方法

Aave V3 でこれまでに得た利子と支払った利子の履歴を正確に追跡したいなら、Etherscan の Account Balance Checker を使うのが最も確実な方法だ。ウォレットが保持する担保トークンや債務トークンの数量を過去の任意の日時にさかのぼって確認することで、複数回の入出金やレバレッジ調整があっても正確な元本変動を割り出せる。

なぜ Aave の利子履歴はアプリ上で見られないのか

なぜ Aave の利子履歴はアプリ上で見られないのか

Aave は取引所のような「取引履歴」の表示に特化したサービスではない。ダッシュボード上で現在の預入額・借入額や年利(APY)は確認できるが、「2025年6月の時点で利子がいくら付いていたか」を直接引き出すボタンは用意されていない。

この情報不足は、とくに長期ポジションの損益を評価するときに問題になる。たとえば2025年に開いたロングポジションが2026年も続いている場合、担保価値の上昇が「価格上昇によるもの」なのか「預入利子の蓄積によるもの」なのかを区別したいシーンは多い。借入側でも、半年以上前の債務が複利でどれだけ膨らんだかを正確に切り分ける必要がある。

ポジションに追加取引が一切なければ、単純に現在の額から開始時の額を引けば済む。しかし現実には担保の追加や引き出し、レバレッジ変更といった操作が入る。こうした場合、単純な引き算では「いつ」「どの操作で」残高がいくつ変動したかが追えず、ネットの利子分だけを抜き出すのが難しくなる。

Aave の担保と債務は「トークン」で記録されている

Aave の担保と債務は「トークン」で記録されている

この問題を解決するカギは、Aave がユーザーの担保残高と債務残高を ERC-20 トークンとして発行している点にある。預け入れた資産は「aToken」、借り入れた資産は「debtToken」という形式でウォレットに付与され、これらは通常のトークンと同じようにブロックチェーン上で残高が追跡できる。

たとえば、Ethereum チェーン上で WETH を担保に供給すると「aEthWETH」というトークンを受け取る。名称を見ると奇妙に感じるかもしれないが、次のように分解すると覚えやすい。

  • a(Aave プロトコル)
  • Eth(Ethereum チェーン)
  • WETH(元のトークン)

これが Arbitrum チェーンなら「aArbWETH」になる。同じルールで債務トークンも発行されており、いずれも DEX でスワップできる通常の ERC-20 トークンとして機能する。

これらのトークンの価値(数量)は、Aave の金利に応じて時間とともに増減する。Aave は供給者向けと借入者向けにそれぞれ「インデックス」と呼ばれる数値を内部的に保持しており、誰かが預入・借入・返済・引き出し・清算などの操作を行ったタイミングで更新される。ウォレットの残高を照会すると、内部では「元本 × 現在のインデックス ÷ 最終更新時のインデックス」という計算が走り、最新の利子を反映した数量が返ってくる仕組みだ。

過去の利子額を計算する具体的な手順

過去の利子額を計算する具体的な手順

実際に「6月5日に開いた WETH 担保ポジションの利子が、レバレッジ変更前の6月23日時点でいくら付いていたか」を調べる流れを例に解説する。必要な道具は Etherscan と、DeFi の操作履歴が追えるアプリだけだ。

起点となるトランザクションと担保トークンを特定する

最初に、ポジションを開いたときのトランザクションを探す。DeFi Saver のような管理アプリを使っているなら履歴タブから該当の取引をクリックし、Etherscan へ飛ぶ。「Net transfers」タブを開くと、最初の ETH 担保額と、その直後に発行された aEthWETH の数量が確認できる。このときの aEthWETH の量が、利子計算の「開始時点の残高」になる。

aEthWETH のトークン名をクリックすると、トークンコントラクトのページに遷移する。ここに表示される「トークンアドレス」が後ほど必要になる。Ethereum チェーンの WETH 担保トークンのアドレスは、たとえば次のようなものだ。

0x4d5F47FA6A74757f35C14fD3a6Ef8E3C9BC514E8

Etherscan の Account Balance Checker で過去残高を取得する

次に Etherscan の「More」タブから「Account Balance Checker」を開く。見た目は非常にシンプルなツールで、いくつかの入力欄だけが並んでいる。

ここに入力するのは以下の3項目だ。

  1. Aave ポジションを保持しているウォレットアドレス(EOA またはスマートウォレット)
  2. aEthWETH のトークンアドレス
  3. 残高を確認したい日付(ここでは6月23日)

「Token Quantity」欄に表示された数値が、指定日時点での aEthWETH の残高だ。この数値から、最初に確認した開始時点の aEthWETH 数量を引けば、その期間に供給 APY によって増えた純粋な利子分が算出できる。債務についてもまったく同じ手順で、債務トークンのアドレスを使って調べればよい。

追加取引がある場合の応用方法

追加取引がある場合の応用方法

ポイントは、任意の日時を指定できる点にある。レバレッジを増やす前日、担保を一部引き出す直前など、操作の節目ごとに残高をスナップショットすれば、各操作前後での利子蓄積分を細かく切り分けられる。複数操作が入り組んだポジションでも「ある日付からある日付までに増えた分は、すべてその期間の利子」とみなせるわけだ。

この手法は Ethereum チェーンに限らず、Etherscan 系のブロックエクスプローラーが整備されているチェーンであれば同じように使える。トークンアドレスはチェーンごとに異なるため、Aave の公式ドキュメントや DeFi 管理アプリ上のトークン情報から、最新の正しいアドレスを必ず確認すること。

よくある質問

Aave のアプリ内で利子履歴を見る機能は今後追加されるのか

公式から明言はされていないが、サードパーティ製ダッシュボードの中には利子推移をグラフ表示するものも増えている。ただ、正確な数値を自分で検証したい場合には、本記事のオンチェーン照会が最も信頼できる。

Account Balance Checker が見つからない場合の代替手段はあるか

Etherscan の UI はアップデートで配置が変わることがある。「Account Balance Checker」が見当たらないときは、Etherscan の検索窓に直接ツール名を入力するか、Dune Analytics などで公開されている残高照会クエリを利用する手段もある。

担保にしたトークンの価格変動と利子の区別はどうつけるのか

利子として増えた分は aToken の「数量」で、価格変動はその aToken の「評価額」に反映される。本記事の手順で特定日時点のトークン数量を割り出し、その日の市場価格を掛け合わせれば、利子由来の増加分と価格上昇分を明確に分離できる。

Polygon や Arbitrum の Aave V3 でも同じやり方で調べられるのか

可能だ。各チェーンに対応したブロックエクスプローラー(Polygonscan、Arbiscan など)が Account Balance Checker を提供していれば、チェーンごとのトークンアドレスを使うだけでまったく同じ流れで照会できる。

この記事のポイント

  • Aave の利子履歴はダッシュボード上に直接表示されない
  • 担保・債務は ERC-20 トークンとして発行されており、残高はオンチェーンで照会可能
  • Etherscan の Account Balance Checker で過去の任意日時のトークン数量を取得できる
  • 開始時と任意日の数量差をとれば、操作が複数あっても純粋な利子分が計算できる
  • チェーンやトークンアドレスが異なるだけで、同じ手順は他のネットワークでも有効
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