BlackRock、カナダでビットコイン3%組み入れの新ETFをローンチ

世界最大の資産運用会社BlackRockがカナダ市場でビットコインを組み入れたETFをローンチした。伝統的な株式ポートフォリオに暗号資産を少量ブレンドする、いわば「ハイブリッド型」の商品設計である。

8月10日、BlackRock Canadaはトロント証券取引所で2本のETFの取引を開始した。うち1本はグローバル株式にビットコインを3%組み入れる構成で、暗号資産と伝統的金融の融合がまた一歩進んだ形だ。

機関投資家だけでなく個人投資家もアクセスできる上場商品にビットコインが標準装備される流れは、資産運用業界における暗号資産の地位が着実に変化していることを示している。

2本の新ETF、IBQTとXINTの概要

2本の新ETF、IBQTとXINTの概要

BlackRock Canadaが今回ローンチしたのは、iShares Equity + Bitcoin ETF Portfolio(IBQT)とiShares Core MSCI All-International Equity Index ETF(XINT)の2本だ。いずれもトロント証券取引所で取引が始まっている。

IBQT、世界株97%とビットコイン3%のハイブリッド設計

IBQTの最大の特徴は、ポートフォリオの97%をカナダ株、米国株、国際株、新興国株に配分し、残りの3%をビットコインに振り向けている点だ。ビットコインへのエクスポージャー(価格変動の影響を受ける度合い)は、BlackRockがカナダで運用するiShares Bitcoin ETF(IBIT)を通じて取得する。

IBITはCboe Canadaに上場している現物ビットコインETFだ。IBQTは個別の株式を直接購入するのではなく、他のiShares ETFを保有することで、株式部分とビットコイン部分の両方をカバーする仕組みになっている。複数のETFをまとめて1つの商品にした「ファンド・オブ・ファンズ」の形式と言える。

3%という比率は一見すると小さいが、伝統的なバランス型ファンドに暗号資産が公式に組み入れられた意味は大きい。投資家は意識せずともポートフォリオの一部でビットコインを保有することになるからだ。

XINT、北米以外の国際株に特化したインデックス型

もう1本のXINTは、MSCI ACWI ex North America IMI Indexに連動する国際株式ETFである。この指数はカナダと米国を除く先進国と新興国、40カ国超・5,000社以上で構成されており、北米以外のグローバル分散投資を目的とする投資家向けの商品だ。

XINTにはビットコインの組み入れはなく、純粋な国際株式インデックスとして設計されている。両ファンドともBlackRock Asset Management CanadaがRBC iSharesアライアンスを通じて運用する。

BlackRockのETFビジネスの規模感

BlackRockのETFビジネスの規模感

今回のカナダでの新規ローンチを理解するには、BlackRockのETF運用全体の規模を知っておくとよい。

iSharesブランドで6.2兆ドルを運用

BlackRockの発表によると、iSharesブランド全体では2026年6月30日時点で約6.2兆ドルの資産を1,700本以上のETFで運用している。ETFとは「上場投資信託」の略で、株式と同じように証券取引所で売買できる投資商品のことだ。投資信託より手軽に分散投資ができ、近年急成長している。

この巨大な運用プラットフォームの一部にビットコインが正式に組み込まれたことは、暗号資産市場にとって構造的な追い風と言える。BlackRockの商品開発力と販売網を通じて、暗号資産への間接的な資金流入が期待できるためだ。

米国版IBITは最大の現物ビットコインETF

BlackRockの米国上場のiShares Bitcoin Trust(IBIT)は、運用資産残高で約479億ドルを抱える米国最大の現物ビットコインETFである。現物ETFとは、ビットコインそのものを保有し、その価格に直接連動する商品のことだ。

CoinMarketCapのデータによれば、IBITは米国市場に上場する現物ビットコインETFのなかで首位に立っている。このブランド力と実績を背景に、カナダ市場でもIBITを活用した商品展開を進めた形だ。

カナダ市場で進む暗号資産ETFの多様化

カナダ市場で進む暗号資産ETFの多様化

カナダは暗号資産ETFの受入れで世界の先頭を走ってきた市場である。2021年には世界初の現物ビットコインETFを承認し、米国より3年近く先行して投資家にアクセスを提供してきた。

世界初の現物ビットコインETFを承認した市場

カナダは規制当局の姿勢が比較的前向きで、暗号資産関連の上場商品が豊富に揃っている。Purpose Bitcoin ETFやCI Galaxy Bitcoin ETFなどが先行して登場し、投資家の選択肢は広がってきた。

IBQTはこれら既存の暗号資産ETFとは異なり、ビットコイン単体ではなく、株式とのバランス型である点が新しい。暗号資産を単独の投機対象として扱うのではなく、分散ポートフォリオの一部として位置づける設計思想は、リスク管理を重視する投資家層を意識したものと言える。

伝統的資産との融合が加速する背景

伝統的な資産運用会社が暗号資産をポートフォリオに組み入れ始めた背景には、相関関係の低さがある。ビットコインは株式市場とは異なる値動きをすることが多く、少量を加えることで全体のリスク分散効果が期待できるという考え方だ。

さらに、機関投資家からの需要増加も見逃せない。年金基金や大学基金といった長期投資家が、インフレヘッジや資産の目減り対策として暗号資産への関心を高めている。IBQTのような商品は、こうした投資家が既存の投資方針の枠内でビットコインにアクセスできる手段を提供する。

今回のローンチが示す今後の展開

今回のローンチが示す今後の展開

BlackRockがカナダでビットコイン組み入れ型ETFを出したことは、単なる商品追加以上の意味を持つ。世界最大の資産運用会社が暗号資産を「標準装備」の一部と見なし始めたシグナルだからだ。

他市場への波及と商品設計の進化

カナダで成功すれば、欧州やアジアなど他地域への展開も考えられる。また、3%という配分比率はあくまで第一歩であり、今後は5%、10%と引き上げた商品や、イーサリアムなど他の暗号資産を組み入れたマルチアセット型のバリエーションも登場する可能性がある。

ただし、暗号資産の価格変動の大きさは依然として課題だ。3%であっても急落時にはファンド全体のリターンを押し下げる要因になり得る。運用会社には投資家への丁寧なリスク説明が求められる。

カナダ市場での競争環境

BlackRockの参入により、カナダの暗号資産ETF市場は競争がさらに激化する。既存の運用会社も差別化を迫られ、手数料の引下げや商品ラインナップの多様化が進むだろう。投資家にとっては選択肢が増え、コスト面でも恩恵が期待できる。

この記事のポイント

  • BlackRock Canadaが8月10日、ビットコインを3%組み入れたIBQTを含む2本のETFをトロント証券取引所に上場した
  • IBQTは97%を世界株式、3%を同社のカナダ版ビットコインETF(IBIT)に配分するハイブリッド設計
  • BlackRockのiSharesブランド全体で約6.2兆ドル、米国版IBITは約479億ドルの運用資産を抱える巨大プラットフォームである
  • カナダは世界初の現物ビットコインETFを承認した市場で、暗号資産と伝統的金融の融合が加速している
  • 伝統的資産運用会社による暗号資産の「標準装備」化は、投資家のリスク分散手段としての認知拡大につながる
共有:

コメントする

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)