米上院共和党が暗号資産規制の包括法案、CLARITY Actの最終改訂版を公開した。635ページに及ぶこの案にはトランプ大統領が同意した異例の倫理規定が盛り込まれている。
火曜日に予定される手続き投票を2日後に控え、民主党側の支持を得るための最終提案という位置づけだ。改訂版には民主党が求めた126件の変更が反映されている。
この記事では、改訂版の主要な変更点と今後の可決シナリオを整理する。暗号資産の法的地位が大きく変わる可能性があるため、投資家だけでなく事業者にとっても見逃せない内容だ。
CLARITY法最終案、民主党の支持を狙う635ページの修正

共和党が日曜日に公開した改訂版は、上院銀行デジタル資産小委員会のシンシア・ルミス委員長と、ジョン・ブーズマン氏、ティム・スコット氏が主導してまとめた。1年間にわたる超党派交渉の成果であり、民主党側から出された126件の変更要望が反映されている。
ルミス氏は声明で「この法案は準備が整った」と述べ、トランプ大統領が自ら前例のない倫理制限に同意したことを強調した。大統領や連邦議員、裁判官、その配偶者までを対象とする厳格なルールだ。
CLARITY Actとは何か
CLARITY Act(暗号資産市場の明確化法案)は、米国における暗号資産の法的な扱いを包括的に整理する法案だ。ステーブルコインの規制、デジタル商品取引所の監督、政府関係者の暗号資産保有ルールなどを含む。
現在の米国では、暗号資産が証券なのか商品なのか、どの法律が適用されるのかが曖昧だ。この不透明さが事業者の参入を妨げている。CLARITY法は明確なルールを提供し、米国市場での事業展開をしやすくする狙いがある。
上院では法案を本会議で審議する前に、議事進行の可否を問う手続き投票が行われる。この投票で60票の賛成を得られなければ、法案は前に進めない。火曜日の投票はその関門となる。
トランプ氏が同意した倫理規定、対象は公職者とその配偶者まで

改訂版の目玉は、連邦公職者や裁判官、その配偶者を対象とする厳格な倫理規定だ。デジタル資産の発行、支援、重要な金融利害の保有を禁止する内容となっている。
違反した場合は50万ドル、または禁止された取引で得た金額の20%のいずれか大きい方が民事制裁金として科される。この規定は州司法長官が執行する仕組みで、法律成立から360日後、または施行規則が早期に確定すればそれより早く発効する。
暗号資産を保有する議員が増える中、利益相反への批判が高まっていた。トランプ氏が自ら制限に同意したのは異例で、法案可決への政治的な布石とみられる。ルミス氏は「トランプ大統領は自発的に前例のない倫理制限に同意した」と述べている。
ブラインドトラストへの移管も義務付け
対象者は重要な金融利害を売却するか、適格ブラインドトラストに移す必要がある。ブラインドトラストとは、資産の管理を独立した第三者に任せ、本人が運用状況を知らない仕組みだ。保有資産が政治的判断に影響しないようにする工夫である。
つまり、公職者が暗号資産を直接保有したまま政策決定に関与することを防ぐ。この仕組みは株式などの伝統的資産では一般的だが、暗号資産に本格適用されるのは今回が初めてに近い。
ステーブルコイン利回りとBRCA、実務面の修正点

ステーブルコイン(法定通貨と価値が連動する暗号資産)に関する条項も変わった。財務長官は、コミュニティバンクの預金が大規模に流出していると判断した場合、ステーブルコインの報酬を制限する規則を導入できる。ただしこの権限は法律施行から18か月で失効する。
地方銀行の預金流出が懸念される中、ステーブルコインの利回りが銀行から資金を奪う事態を抑える狙いがある。この条項は、暗号資産と伝統的金融機関の競争を意識した内容だといえる。
BRCA(ブロックチェーン規制確実性法)では、開発者をマネー送金業者とみなさない保護が維持された。さらにマイナーやバリデーターにも保護が拡大されている。マイナーとはビットコインなどの取引記録を検証する参加者、バリデーターは同様の役割を持つ存在だ。
改訂版では米国法典第18編第1960条への言及も削除された。これは無認可送金事業の禁止に関する規定で、開発者が意図せず違法状態に置かれるリスクがあった。この変更により、ブロックチェーン技術の開発者が法律の誤解で摘発される懸念が減ると期待される。
さらにデジタル商品取引所の関連取引や利益相反に関する保護も強化され、消費者保護法の適用が明確化された。取引所とその関連会社の間で不透明な取引が行われないようにするための規定だ。
火曜日の手続き投票、予測市場での可決確率は35%

改訂版は火曜日午後2時15分(東部時間)の手続き投票の2日前に公表された。共和党はこの案を最終提案と位置づけており、これ以上の変更には応じない構えだ。
可決には上院で60票の賛成が必要となる。予測市場のポリマーケットでは、今年中にCLARITY法が成立する確率が35%まで上昇した。7月下旬以来の高水準で、交渉が最終段階に入ったことで市場の期待が高まっている。
35%という数字は決して高くはない。しかし、数か月前と比べると着実に上がってきている。予測市場は将来の出来事の結果に賭ける市場で、値動きが世論の変化を映す指標として注目されている。
法案が成立すれば、米国の暗号資産規制は大きな転換点を迎える。特にステーブルコイン発行体や取引所にとっては事業環境が大きく変わる。火曜日の投票結果が今後の市場動向を左右する重要な分岐点になるだろう。
この記事のポイント
- 共和党が635ページのCLARITY法改訂版を公開し、民主党への最終提案と位置づけた
- トランプ氏同意の倫理規定が含まれ、違反時の制裁金は最大50万ドル
- ステーブルコイン報酬制限やBRCAの開発者保護拡大も盛り込まれた
- 火曜日の手続き投票が焦点で、予測市場の可決確率は35%に上昇

暗号資産とブロックチェーンの可能性を追求するエミリー。
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