暗号資産取引所OKXとニューヨーク証券取引所(NYSE)の親会社インターコンチネンタル取引所(ICE)の合弁会社が、米国株式のトークン化取引プラットフォームを米証券取引委員会(SEC)に申請した。
申請したのはOKXICE LLCで、NvidiaやAppleなど60社以上の米国上場企業のトークン化株式を、24時間365日取引できるようにする計画だ。この動きは、SECが9月に導入した新しいイノベーション免除を利用した最初の大規模な事例の1つとなる。
申請の概要と背景

OKXICE LLCは、トークン化証券会場(TSV)と呼ばれる新しいタイプの取引プラットフォームを立ち上げる意向をSECに通知した。TSVとは、株式や債券などの伝統的な金融商品をブロックチェーン上で表現し、取引できるようにする仕組みのことだ。
OKXICEの共同会長を務めるアンドリュー・クオモ氏は「デジタル資産革命はすでに金融システムを変革している。トークン化証券はその次に来るものの一部だ」と述べている。同氏は、プラットフォームが60社以上の米国上場企業を含むと説明した。
10月4日付の公開通知には、Nvidia、Apple、Microsoft、Teslaに加えて、StrategyやCoinbase、Circle、Bitgoといった暗号資産関連企業を含む63の株式シンボルが記載された。伝統的な大企業から暗号資産ネイティブ企業まで幅広く取り扱う方針がうかがえる。
OKXとICEは今年6月、トークン化金融商品のインフラ構築を目的とした50対50の合弁会社を設立していた。両社はそれぞれの強みを持ち寄り、暗号資産取引所の技術力と伝統的な証券取引所の信頼性を組み合わせる狙いがある。
プラットフォームの技術的な仕組み

OKXICEのプラットフォームは、OKXが開発したイーサリアムのレイヤー2ネットワークであるXLayer上で稼働する。レイヤー2とは、イーサリアム本体の混雑を避けつつ、より速く安価に取引を処理するための拡張技術だ。
取引には許可型のUniswap v4流動性プールを利用する。Uniswapは分散型取引所の代表格で、流動性プールとは複数のユーザーが資金を出し合い、その資金を使って自動的に取引を成立させる仕組みを指す。許可型にすることで、規制要件を満たしながら運営する設計だ。
各トークン化株式は、USDC(USD Coin)、Global Dollar(USDG)、USDT(Tether)という3種類のステーブルコインとペアで取引される。ステーブルコインは米ドルと価値がほぼ1対1で連動するように設計された暗号資産で、価格変動の影響を受けにくい特徴がある。
プラットフォームは24時間365日の運営を計画している。従来の米国株式市場は平日の限られた時間しか取引できないため、時間外に取引したい投資家にとって大きな選択肢となる可能性がある。
SECのイノベーション免除とは何か

SECは9月、トークン化された米国株の限定的な取引を特定のオンチェーン会場で認める一時的な免除を発行した。これは、既存の証券規制の枠組みを一時的に緩和し、新しい技術を試験的に導入できるようにする制度だ。
このイノベーション免除の下では、TSVは自動マーケットメーカー(AMM)と流動性プールを通じて、トークン化された全米市場システム(NMS)株式の許可型取引を提供できる。NMS株式とは、米国の主要取引所に上場されている株式のことを指す。
従来、米国株式の取引は証券取引所や代替取引システム(ATS)など、厳格に規制された場でのみ行われてきた。ブロックチェーンを使った株式取引は、決済の即時性や透明性の向上が期待される一方、投資家保護の観点から規制当局の慎重な姿勢が続いていた。
今回の免除は、そうした規制の壁を一時的に取り払い、実際の市場でトークン化株式の有用性を検証する機会を提供するものだ。OKXICEの申請は、この新しい制度を活用する最初期の事例として注目を集めている。
市場への影響と今後の展望

株式市場と暗号資産市場の融合は、ここ数年で徐々に進んできた。今回の動きは、その流れを加速させる可能性がある。特に取引時間の制約がなくなることは、世界中の投資家にとって大きな利便性向上につながる。
一方で、課題も残る。トークン化株式の価格が実際の株式価格と乖離しないよう維持する仕組みや、市場操作への対策、投資家保護の枠組みなど、解決すべき論点は多い。SECの免除が恒久的な制度になるかどうかも、今後の運用実績にかかっている。
競合他社の動きも活発化している。複数の暗号資産取引所や金融機関が同様のトークン化証券プラットフォームの構築を進めており、今後は技術力と規制対応力の両面で競争が激しくなると予想される。
この記事のポイント
- OKXとNYSE親会社ICEの合弁会社OKXICE LLCが、トークン化米国株プラットフォームをSECに申請した
- NvidiaやApple、Teslaなど60社以上の米国上場企業のトークン化株式を24時間365日取引可能にする計画だ
- SECが9月に導入したイノベーション免除を利用し、XLayer上で許可型Uniswap v4流動性プールを使う
- 各トークン化株式はUSDC、USDG、USDTとペアで取引される
- 株式市場と暗号資産市場の融合が加速する一方、投資家保護などの課題も残る

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