MetaMaskで取引をする際、ネットワーク手数料(ガス代)の支払いには必ずしもETHは必要ない。対応する取引なら、ウォレット内の別トークンで手数料を払える。スワップの際に手数料を差し引く仕組みや、ガス代が完全に無料になるケースもある。
MetaMaskでETHなしにガス代を払えるのはどんな場合か

ガス代(ガスフィー)とは、ブロックチェーンのネットワークを利用する際に発生する手数料だ。本来は各チェーンのネイティブトークンで支払う。EthereumメインネットならETH、BNB Smart ChainならBNBだ。
しかしMetaMaskでは現在、取引の種類とネットワークによってETHなしで手数料を処理できる3つの仕組みが提供されている。
- ガス代込み取引。別の対象トークン(USDCなど)で手数料を支払う。
- ガスレススワップ。スワップするトークンから手数料を差し引く。
- ガススポンサーシップ。MetaMaskが手数料を全額負担する。
要は、取引の内容によってETHをあらかじめ用意しなくても済む場合が増えているということだ。
別トークンでガス代を払う「ガス代込み取引」

ガス代込み取引(ガスインクルーデッド取引)は、ネットワーク手数料をネイティブトークン以外のトークンで支払う仕組みだ。送金やdapp(分散型アプリ)の取引でネイティブトークンの残高が不足しているとき、MetaMaskが自動的に対象トークンを選んで手数料に充ててくれる。
対象トークンの例としてUSDCがある。ユーザーが手数料のドロップダウンから任意の対象トークンを選ぶこともできる。対応するネットワークは次のとおりだ。
| ネットワーク | ガス代込み取引 |
|---|---|
| Ethereum Mainnet | 対応 |
| BNB Smart Chain | 対応 |
| Arbitrum | 対応 |
| Polygon | 対応 |
| Linea | 対応 |
| Base | 対応 |
| Tempo | 対応 |
実際に使うときの流れは以下のとおりだ。
- MetaMaskで送金またはdappの取引を開始する
- 手数料のドロップダウンを開く
- ネイティブトークン以外の対象トークンを選ぶ
- 取引内容を確認して承認する
ガスレススワップでETHが不要になる条件とは

ガスレススワップとは、スワップするトークンからネットワーク手数料を差し引く仕組みだ。通常のスワップではガス代をネイティブトークンで別に支払う必要がある。ガスレススワップなら、その必要がない。
例えばEthereum上でUSDCを持っているがETHを持っていない場合でも、USDCから直接別トークンへスワップできる。手数料はスワップするトークンから差し引かれる。
対応しているのは特定のネットワークとスワップ経路に限られる。取引を実行する前に、MetaMaskの画面で手数料がどのように差し引かれるかを確認するとよい。
ガススポンサーシップで手数料が無料になるのはどのネットワークか

ガススポンサーシップとは、MetaMaskがネットワーク手数料を全額負担する仕組みだ。対象の取引では、ユーザーがガス代を支払わなくても取引を実行できる。
現在対応しているのはMonad、SEI、Solanaの3つだ。この仕組みはMetaMaskスマートアカウントを利用する。スマートアカウントとは、従来のウォレットアカウントとは異なる新しいタイプのアカウントで、ガス代の扱いを柔軟にできる点が特徴だ。
対象となるアカウントは、最初のスポンサー取引で自動的にアップグレードされる。特別な設定は不要だが、取引の内容によってスポンサーシップが適用されるかどうかが決まる。
どんな取引ではETHが依然として必要なのか

上記のどの仕組みにも該当しない取引では、従来どおりネットワークのネイティブトークンでガス代を支払う必要がある。
特に注意したいのは、ガス代込み取引が対応していないネットワークでの取引や、ガスレススワップの対象外となるスワップ経路、ガススポンサーシップが使えないネットワークでの送金だ。こうしたケースでは、あらかじめネイティブトークンを少量でも用意しておく必要がある。
Ethereumメインネットを頻繁に利用するなら、少額でもETHを常に保持しておくのが安全だ。ガス代はネットワークの混雑状況によって変動するため、余裕を持った残高にしておくとよい。
よくある質問
ガス代はどのくらいの金額になるのか
ガス代はネットワークの混雑状況と取引の種類によって大きく変わる。Ethereumでは数十円から数千円規模まで幅がある。正確な金額は取引の直前にMetaMaskの表示で確認するのが確実だ。
USDCがあればETHなしで全ての取引ができるのか
USDCだけで全ての取引ができるわけではない。ガス代込み取引に対応しているネットワークと取引の種類に限られる。対象外の取引ではネイティブトークンが必要だ。
ガス代込み取引を利用するための設定は必要か
特別な設定は不要だ。対応する取引ではMetaMaskが自動的に対象トークンを選ぶか、手数料のドロップダウンから選べる。ガススポンサーシップはスマートアカウントへのアップグレードが必要になる場合がある。
スマートアカウントに切り替える必要があるか
ガススポンサーシップを利用する場合のみスマートアカウントが必要だ。通常のガス代込み取引やガスレススワップは従来のウォレットアカウントでも利用できる。
ガススポンサーシップは日本から利用できるのか
地域による制限は明示されていない。対応するネットワーク(Monad、SEI、Solana)で対象の取引であれば利用できる可能性が高い。実際に利用できるかはMetaMaskの画面で確認する必要がある。
この記事のポイント
- MetaMaskでETHが不要になる取引が増えている
- ガス代込み取引は7つのネットワークで利用できる
- ガスレススワップはスワップするトークンから手数料を差し引く
- ガススポンサーシップはMonad、SEI、Solanaで手数料が無料になる
- 対象外の取引では従来どおりネイティブトークンが必要だ

「エミリーズ・クリプト・インサイダー」のリサーチ担当として、暗号資産の現場で日々生まれる疑問や悩みを丹念に追いかける。
Reddit や海外フォーラムに寄せられる声を読み解き、「初心者がつまずきやすいポイント」「経験者でも見落としがちな落とし穴
」を一つずつ記事として整理している。
専門的な話を誰もが理解できる言葉に置き換えることに全力を注ぐ。情報の正確さと読みやすさの両立を信条としている。
