MSCIが新たな指数除外ルールを正式に採用した。ビットコインを大量に保有するStrategy、日本のMetaplanet、そしてUpexiの3社が除外候補に挙がっている。11月11日に最終リストが発表される予定で、指数連動ファンドに与える影響が注目される。
新ルールは「非営業会社」をMSCIグローバル投資可能市場指数から除外するというものだ。8月に提案された方法論がそのまま採用された。除外されると指数に連動するファンドが株を売却するため、株価に売り圧力がかかる可能性がある。
この記事では、新ルールの中身と今後のスケジュール、市場への影響、そしてStrategyの反論を整理する。暗号資産を財務資産として保有する企業にとって、今回の変更が持つ意味も解説する。
MSCIが新ルールを採用、Strategyなど3社が除外候補に

8月の提案が正式採用に
MSCIは10月15日、非営業会社を指数から除外する新たな方法論を採用したと発表した。これは8月に提案されていたもので、MSCIグローバル投資可能市場指数の対象企業から「非営業会社」を除外するという内容だ。
MSCIは世界的な株価指数の作成・管理会社で、多くのETFや投資信託がこの指数に連動している。投資家が市場の動きを測るための重要な指標を提供しており、指数の構成銘柄から外れると、その企業の株式はパッシブファンドから売却されることになる。
非営業会社とは、実際の事業活動よりも資産の保有が中心の会社のことを指す。MSCIはこうした企業を指数の対象から外す判断基準を作った。ビットコインを財務資産として大量に保有する企業が、この定義に当てはまる可能性がある。
除外候補となった3社と他社への影響
今回のルール変更で、Strategy、Metaplanet、Upexiの3社が削除候補として特定された。Strategyは旧MicroStrategyで、マイケル・セイラー氏が率いるビットコイン大量保有企業だ。
Metaplanetは東京証券取引所に上場する日本のビットコイン購入企業である。Upexiは米国でビットコインを財務資産として保有する企業だ。いずれも本業よりもビットコイン保有の比率が高い点が共通している。
削除候補だけでなく、ウォッチリスト入りする企業も出た。Sharplink、Ton Strategy Company、Solana Company、DeFi Development Corp.の4社は、将来的な除外の可能性がある企業として監視対象になる。
非営業会社とは何か、5つの財務テストで判定

営業資産と財務比率で評価
MSCIの新しい方法論では、企業の「営業資産」と5つの財務比率を使って非営業会社かどうかを判定する。営業資産とは、実際の事業に使われている資産のことだ。ビットコインのような投資目的の資産は営業資産には含まれない。
5つの財務比率の詳細は公表されていないが、企業が本業でどれだけ収益を上げているかを測る指標が中心になる。テストのうち4つ以上で不合格になると、指数の対象として不適格と判断される仕組みだ。
2年間のスクリーニング期間
新ルールは即座に適用されるわけではない。すでに指数に含まれている企業の場合、2つの年次報告期間にわたってスクリーニングの基準を満たさなかった場合に、初めて除外の対象となる。つまり、すぐに除外されるのではなく、一定の猶予期間があるということだ。
ただし、Strategyのように以前から削除候補として特定されていた企業は、この2年間の猶予を待たずに除外される可能性がある。MSCIは8月の時点ですでにStrategyを削除候補として公表していた。
市場への影響、JPMorganは28億ドルの売却を試算

指数連動ファンドの売却圧力
企業がMSCI指数から除外されると、その指数に連動するファンドは自動的に株式を売却しなければならない。指数連動ファンドは指数の構成銘柄をそのまま保有する運用スタイルのため、構成から外れた銘柄は機械的に売られる。
売却は一斉に行われるため、短期的に株価へ大きな売り圧力がかかる。パッシブ投資家からの需要が減ることで、長期的にも株価の下支えが弱くなる可能性がある。
JPMorganの試算と実際の規模
JPMorganのアナリストは以前、Strategyが指数から除外された場合、約28億ドル相当の売却が発生する可能性があると試算していた。ただし、この数字は今回採用された新ルールではなく、8月に提案された際のデジタル資産関連の提案に基づくものだ。
実際の売却規模は、最終的な除外リストが発表される11月11日以降に、より正確な数字が見えてくる。MSCIは最終リストを11月11日に公表し、除外は11月30日に発効する予定だとしている。
Strategyの反論、株価への影響は限定的との主張

発行済み株式の3.1%が対象
Strategyは8月、この変更に対して反対の立場を示した。ただし、その影響は限定的だという見方も同時に示している。MSCIグローバル投資可能市場指数に連動するファンドが保有するStrategyの株式は約1,300万株で、これは発行済み株式の3.1%に相当する。
3%超の売却圧力は小さくないが、Strategyはこの規模の売りは1日未満の取引量で吸収できると説明している。自社の株式の流動性が高い点を根拠に、大きな混乱は起きないというのがStrategyの主張だ。
ビットコイン保有戦略への影響は
Strategyは指数から除外されても、ビットコインを保有し続ける戦略自体には影響しないとみられる。同社はビットコインを財務資産として保有する方針を明確にしており、短期的な株価変動よりも長期的なビットコイン価格の上昇を重視している。
むしろ、指数からの除外はパッシブ投資家からの資金流入が減る一方で、自社の戦略に集中できるという側面もある。ビットコイン購入のために発行する社債や株式の需要が、指数連動ファンド以外の投資家からどれだけ集まるかが鍵になる。
暗号資産トレジャリー企業に広がる波紋

MetaplanetやUpexiへの影響
MetaplanetとUpexiも同じルールで除外候補になっているが、両社の時価総額や指数への組み入れ規模はStrategyより小さい。それでも、指数から外れることでパッシブ投資家からの需要が減るという構造は同じだ。
特にMetaplanetは日本の個人投資家からの人気が高く、MSCI指数からの除外が直接的な売りにつながるかは微妙なところだ。ただし、海外の機関投資家にとっては指数の構成銘柄かどうかが投資判断の基準になる場合もあるため、無視できない要素だ。
暗号資産企業と指数の関係
今回のMSCIの判断は、ビットコインを財務資産として保有する企業が「非営業会社」とみなされる可能性を示した。これは暗号資産トレジャリー企業全体にとって、資金調達や機関投資家へのアクセスに影響を与える構造的な問題だ。
一方で、ビットコイン自体の価格が上昇すれば、こうした企業の資産規模も拡大する。指数から外れても、株価がビットコイン連動で大きく上昇すれば、アクティブな投資家からの需要は残る。長期的には、暗号資産企業が従来の金融指数にどう適合するか、あるいは適合しないのかが問われることになる。
11月11日の最終リスト発表は、暗号資産企業と伝統的金融市場の関係を測る重要なイベントになる。Strategyが実際に除外されるのか、ウォッチリスト入りした企業がどう扱われるのか、市場の反応を注視する必要がある。
この記事のポイント
- MSCIは非営業会社を指数から除外する新ルールを採用した
- Strategy、Metaplanet、Upexiの3社が除外候補に挙がっている
- 最終リストは11月11日発表、11月30日発効の予定だ
- 指数連動ファンドが売却を強いられるため、株価に圧力がかかる可能性がある
- ビットコインを財務資産として保有する企業にとって、重要な分岐点となる

暗号資産とブロックチェーンの可能性を追求するエミリー。
暗号資産投資、DeFi、NFT、WEB3、メタバースといった最先端分野を深く理解し、「エミリーズ・クリプト・インサイダー」を運営。
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