米リップル社が、OCC(米国通貨監督庁)から全国信託銀行の設立に向けた最終承認を取得した。リップルCEOのブラッド・ガーリングハウス氏が2026年10月26日、Xで明らかにした。
これにより、ステーブルコイン「リップルUSD(RLUSD)」の準備金管理とデジタル資産カストディ業務が連邦政府の監督下に入る。暗号資産企業による銀行免許取得の動きがさらに加速する格好だ。
リップルの発表によると、新設する信託銀行は企業向けにデジタル資産の保管サービスも提供する。RLUSDの発行はニューヨーク州監督下の企業が引き続き担う。
リップルがOCC最終承認を取得、全国信託銀行を設立へ

リップルは米国OCCから、全国信託銀行「Ripple National Trust Bank」の設立に向けた最終承認を取得した。ブラッド・ガーリングハウスCEOが2026年10月26日、Xで発表した。
OCC(米国通貨監督庁)は、米国の国法銀行を認可・監督する連邦機関だ。暗号資産企業にとって、OCCの承認を得ることは、連邦レベルの信頼性を獲得する大きな一歩になる。
ガーリングハウス氏は「暗号資産と銀行は協調したほうが機能する、と常々言ってきた。これがその具体像だ。真のイノベーション、真の説明責任、連邦監督がここにある」と述べている。
OCCが発行する信託銀行免許は、預金の受け入れや貸し出しを認めない点で、一般的な商業銀行免許とは異なる。リップルはこの枠組みの下で、暗号資産関連の信託業務に特化した事業を展開することになる。
承認までの経緯
最終承認は、条件付き承認の取得から1年も経たずに下りた。リップルが米国銀行免許の申請を最初に提出したのは2025年7月。同年12月12日に条件付き承認を得ていた。
その後の約10カ月で、追加の要件審査や監督体制の確認が進んだ。最終承認により、リップルは連邦レベルでカストディ事業を展開する正式な立場を得たことになる。
全国信託銀行とは何か。リップルの仕組みを整理

全国信託銀行(national trust bank)は、米国で信託業務に特化した銀行形態だ。預金の受け入れや貸し出しは認められず、顧客資産の保管や管理を専門とする。
信託とは、簡単に言えば「他人の資産を、その人のために管理する」仕組みだ。暗号資産の世界では、企業や投資家が自分のデジタル資産を安全に保管するために、信託会社に預けるケースが増えている。
信託銀行と商業銀行の違い
信託銀行と商業銀行の違いは、業務の範囲にある。商業銀行は預金を受け入れて貸し出しを行う。信託銀行は預金や貸し出しを行わず、顧客から預かった資産を安全に管理し、契約に基づいて運用・移転する。
つまり、信託銀行は「資産の保管庫」に近い存在だ。リップルの場合、RLUSDの裏付けとなる準備金を分別管理し、RLUSD保有者に対してその準備金の受託者としての役割を果たすことになる。
リップルが選んだ二層構造
リップルの発表によると、Ripple National Trust BankはRLUSDを支える分別管理された準備金の管理と、RLUSD保有者向けの担保受託者としての業務が認められる。あわせて、機関投資家や企業向けにデジタル資産の受託カストディサービスも提供する。
ここでいう準備金とは、ステーブルコインの価値を米ドルに保つために裏付けとして保有される現金や国債などの資産を指す。RLUSDは1ドルに対して1RLUSDを発行する設計で、その裏付け資産が適切に管理されているかが信頼の要となる。
一方、RLUSD自体の発行は今後もStandard Custody & Trust Companyが担う。同社はニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)の監督下にある限定目的信託会社だ。
つまり、発行はニューヨーク州の監督、準備金管理とカストディは連邦OCCの監督という二層構造になる。これにより、RLUSDは州と連邦の両方から監視される体制に入る。ステーブルコインの透明性と信頼性を高める狙いがある。
RLUSDの成長と今後の役割

RLUSDは2024年12月にローンチした米ドル連動型ステーブルコインだ。リップルの決済インフラで利用されるほか、機関投資家向けプラットフォーム「Ripple Prime」では担保としても使われている。
ステーブルコインとは、米ドルなどの法定通貨に価値を連動させた暗号資産の一種だ。価格が安定しているため、送金や決済、取引の合間の資金待機場所として使われる。
25億ドルに達した時価総額
リップルによると、RLUSDの時価総額は25億ドルに達した。ローンチから約1年10カ月で、ステーブルコイン市場での存在感を高めている。
時価総額は、発行されているRLUSDの総量をドル換算したものだ。25億ドルという規模は、裏付け資産の管理がますます重要になる水準でもある。
企業向けカストディへの展開
全国信託銀行の設立により、リップルは企業向けのデジタル資産カストディサービスを拡大できる。カストディとは、顧客のデジタル資産を安全に保管・管理する業務を指す。
暗号資産市場では、企業が自社のデジタル資産を第三者に預ける需要が高まっている。リップルは連邦監督下の信託銀行という信頼性を武器に、この市場へ本格参入する。
相次ぐOCC承認、議会では批判も

OCCによる暗号資産企業への信託銀行免許の交付は、2025年後半から相次いでいる。リップルの最終承認は、この流れを象徴する出来事だ。
承認ラッシュの構図
ステーブルコイン大手Circleは2026年7月、USDCの準備金を連邦監督下に置く全国信託銀行の最終承認を取得した。BitGoは2025年12月に承認を受けた。Coinbase、Crypto.com、World Liberty Financialも2026年に条件付き承認を得ている。
これにより、ステーブルコインの準備金管理が州レベルの監督から連邦レベルの監督へ移る事例が増えている。業界全体で「連邦監督の下での信頼性向上」が競争テーマになっている。
ウォーレン議員の批判と業界の反論
一方、議会ではこの動きに反対する声もある。エリザベス・ウォーレン上院議員は、暗号資産企業への信託銀行免許の交付が国家銀行法に違反し、金融システムにリスクをもたらすと批判してきた。
これに対し、業界団体The Digital Chamberは「信託銀行免許は信託業務と関連する受託業務に限定されており、銀行特権の不当な拡大ではない」と反論している。さらに、これらの企業は自発的に連邦監督を受け入れていると指摘した。
免許の拡大をどう評価するかは意見が分かれる。ただ、連邦監督の下で準備金管理を行う流れが強まっているのは確かだ。
この記事のポイント
- リップルがOCCの最終承認を受け、全国信託銀行「Ripple National Trust Bank」を設立する
- RLUSDの準備金管理と企業向けカストディが連邦監督下に入る
- RLUSDの発行はニューヨーク州監督下のStandard Custody & Trust Companyが継続する
- RLUSDの時価総額は25億ドルに達している
- OCCの暗号資産企業への免許交付は相次いでおり、議会では批判と支持が交錯する

暗号資産とブロックチェーンの可能性を追求するエミリー。
暗号資産投資、DeFi、NFT、WEB3、メタバースといった最先端分野を深く理解し、「エミリーズ・クリプト・インサイダー」を運営。
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