ビットコイン、60,000ドル防衛ラインで綱渡り

ビットコインは6月29日、58,800ドル付近まで売り込まれた後、60,000ドル台をかろうじて維持する展開となっている。直近2週間で目立った反発を見せられず、市場参加者の多くは明確な方向感を掴みかねている状況だ。
60,000ドルという水準は、心理的な節目であると同時に、デリバティブ市場で積み上がったロングポジションの損益分岐点が集中するエリアでもある。ここを下抜けると、連鎖的なロスカットが誘発される可能性が高い。
現物ETFフローが示す需要の鈍化
米国のビットコイン現物ETFへの資金流入は、足元で勢いを失っている。SoSoValueのデータによれば、純流入額はピーク時の数分の一まで縮小した。ETF経由で市場に流入していた新規資金の勢いが一服したことが、上値の重さにつながっているとの見方がある。
ETFが承認された直後は、機関投資家の参入が大口の買い需要を生み出し、価格を押し上げた。だが、その初期需要が一巡したいま、ビットコインは次の買い手を探している段階に入っている。
先物市場で進む静かなポジション整理

建玉(オープンインタレスト)の動きは、市場がパニックではなく秩序立った調整を進めていることを物語っている。全取引所合計のビットコイン先物建玉は約199億ドルと、2週間前の201億ドルから緩やかに減少した。トレーダーがリスクを落とすためにポジションを手仕舞う動きは見られるものの、投げ売りのような混乱は起きていない。
資金調達率が示すセンチメントの変化
ロングポジションを保有するための資金調達率は、0.25%から0.12%へと半分以下に低下した。強制ロスカットの波が収まりつつあることを示唆する数値だが、依然としてロング保有者はコストを払っている状態だ。つまり、市場は回復を期待しつつも、確信を持って賭けに出るほどの自信はない。
資金調達率とは、先物価格と現物価格の乖離を調整する仕組みだ。ロングが多いとロング側がショート側に手数料を支払う。この数値が高いほど強気の偏りが強いことを意味する。
58,800ドル割れで5億ドル規模のロスカットも
直近の安値である58,800ドルは、テクニカルな防衛ラインとして市場参加者に意識されている。この水準を明確に割り込んだ場合、約5億ドル相当のロングポジションが連鎖的に清算されるリスクがある。清算が加速すれば、56,000ドル付近までの下落も視野に入る。
清算(ロスカット)とは、証拠金が不足したポジションを取引所が強制的に決済する仕組みだ。価格が一定水準を超えて逆行すると自動的に発動し、その売り圧力がさらに価格を押し下げるという連鎖が起きることがある。
機関投資家の様子見姿勢と薄い取引

市場全体の出来高は低調で、建玉の変動も小幅にとどまっている。これは小口投資家の売りがほぼ出尽くした一方で、大口の買い手がまだ本格的に動き出していない「こう着状態」を映し出している。
MicroStrategyは静かに買い増し
米マイクロストラテジーは6月中に約2億3,600万ドルを投じて3,600BTCを追加取得した。同社はビットコインを企業の資産として保有する戦略で知られ、市場が軟調な局面でも買いを入れる姿勢を崩していない。ただし、こうした動きは散発的であり、市場全体のセンチメントを押し上げるには至っていない。
他の機関投資家の多くは、積極的な買い増しよりも現状のポジションを維持する方向にかじを切っている。新規資金が入ってこなければ、62,000ドルのレジスタンスを突破するのは難しいというのが市場関係者の共通認識だ。
今週のカタリストとビットコインの分かれ道

ビットコインが上方向に意味のあるブレイクアウトをするには、62,000ドルの奪回が最低条件となる。この水準を超えられなければ、もう一波乱あってしかるべきだと見るトレーダーも少なくない。
米雇用統計と中東情勢の二重リスク
今週は6月の米雇用統計の発表が控えている。労働市場の強弱はFRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策見通しに直結し、ひいてはドルとリスク資産全体の方向性を左右する材料だ。市場予想から大きく外れる数字が出れば、ビットコインにも即座に影響が及ぶだろう。
これに加えて、イランを巡る地政学リスクもくすぶっている。軍事行動の再開が現実味を帯びれば、投資家心理は一気にリスクオフに傾く。60,000ドルという節目が、外的ショックに対してどこまで耐えられるかが焦点となる。
株価との連動性は継続
直近の米国株は、イランの和平期待を背景に反発を見せている。ビットコインもこの流れに追随し、60,000ドル付近で下げ止まる格好となった。暗号資産と株式市場の相関は依然として高く、マクロ指標への感応度は当面続くとの見方が大勢を占めている。
この記事のポイント
- ビットコインは58,800ドルの直近安値から60,000ドル台を維持する攻防が続く
- 先物建玉は緩やかに減少し、パニックではなく秩序立ったポジション整理が進行中
- 58,800ドルを割ると5億ドル規模の清算連鎖が発生し、56,000ドルまでの下落も
- 機関投資家の多くは様子見姿勢で、62,000ドル奪回が上昇トレンド再開の条件
- 米雇用統計と中東情勢が今週の主要なリスクイベント

暗号資産とブロックチェーンの可能性を追求するエミリー。
暗号資産投資、DeFi、NFT、WEB3、メタバースといった最先端分野を深く理解し、「エミリーズ・クリプト・インサイダー」を運営。
分かりやすい解説で、ブロックチェーン革命の潮流を一般に広めることを目指す。初心者から上級者まで、最新情報を求めるすべての人に役立つ情報発信を心がけている。
