ビットコインが6万9000ドル台に急反発——専門家が警告するバウンスの限界

ビットコイン(BTC)が2月25日(水)、6万9000ドル付近まで急反発した。前日火曜日の安値から10%を超える上昇で、暗号資産市場全体に安堵の空気が広がった。

イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、ドージコイン(DOGE)、カルダノ(ADA)もそれぞれ2桁台の上昇を記録。数週間にわたる売り圧力が一気に巻き戻された形だ。

ただし複数のアナリストは「まだ安心できない」と口を揃える。今回の反発が持続的なトレンド転換の始まりなのか、それとも一過性のバウンスに過ぎないのか——慎重な見極めが求められる局面だ。

急反発の全容——何が起きたのか

急反発の全容——何が起きたのか

ショートスクイーズが引き金になった

今回の反発を理解するうえで欠かせないのが「ショートスクイーズ」という概念だ。これは、価格の下落を見込んで空売りポジションを積み上げていたトレーダーが、価格の反転によって損切りを余儀なくされ、その買い戻しが次の価格上昇を誘発する連鎖現象を指す。

LMAX Groupの市場ストラテジスト、ジョエル・クルーガー氏はこの構造を明確に指摘する。直近数ヵ月、暗号資産市場への悲観論は高まり続けており、多くのトレーダーが売り越し(ショート)に傾いていた。その偏りが「バネ」となって蓄積し、わずかな買いをきっかけに一気に解放されたとみられる。

決定的なニュースや経済指標の発表は確認されていない。マクロ環境の改善があったわけでも、大型プロジェクトの発表があったわけでもない。「買われたから買われた」という自己実現的な連鎖が主因とクルーガー氏は分析している。

暗号資産関連株も軒並み反発

BTC価格の回復は株式市場にも波及した。ステーブルコイン発行大手のサークル(CRCL)は決算発表との相乗効果で34%急騰。暗号資産取引所コインベース(COIN)は14%上昇し、法人最大のBTC保有者として知られるストラテジー(MSTR)が9%、イーサリアムを財務資産とするビットマインも12%の上昇を記録した。

こうした暗号資産関連株の同時高は、機関投資家の資金がセクター全体を買い戻した可能性を示唆している。サークルの決算という個別材料はあるものの、その他の株高は主にBTC市場のセンチメント改善を受けた動きとみられる。

アナリストが楽観論を警戒する理由

アナリストが楽観論を警戒する理由

明確なカタリストを欠く反発の信頼性

クルーガー氏はさらに踏み込んでこう述べる。「今回の上昇の性質——明確な引き金がなく、流動性が薄い状況での急騰——は、持続的な上昇トレンドの始まりではなく、あくまで逆張りの動きとして扱うべきだ」。

通常、価格が大きく動く場面では何らかのカタリストが伴う。規制の緩和、大型ETFへの資金流入、マクロ経済指標の改善といったものだ。それなしに10%超の動きが起きた場合、同じ速さで下落することも少なくない。「反発の質」が問われる局面といえる。

ウィンターミュートOTCトレーダーのヤスパー・デ・メア氏も同様の懸念を示す。「ファンダメンタルズ面の指標は依然として、この強さが続くという確信を与えていない」とコメントした。ファンダメンタルズとは、企業業績や経済成長などの「本質的な価値の裏付け」を指す概念だ。

オプション市場が示す複雑な需給

FalconX共同市場責任者のジョシュア・リム氏はオプション市場の動向を挙げた。「イーサリアムのコールオプションに対する旺盛な需要がある」と述べ、特に向こう2〜3週間の$2,000〜$2,200の価格帯を対象にした買いコールおよびコールスプレッドへの資金流入が続いているという。

コールオプションとは、将来ある価格でETHを買う権利を事前に購入しておく金融商品だ。価格が上がれば利益が出るが、下がっても支払ったプレミアム(権利購入費用)以上の損失は生じない。価格上昇を見込む強気派がリスクを限定しながら上値を狙う際に使われる。

さらにリム氏は「一部のファンドが今の反発を追いかける形で、より値動きの大きいアルトコインやオプションへ資金を移し始めている」と指摘する。リスク選好が短期間で急速に高まったことを示すが、相場が反転した際の下落も急激になるリスクを孕んでいる。

また月末には約11.5万BTC分のオプション(総額約74.9億ドル)が期限切れを迎える。このオプション満期に関連する「マックスペイン(最大痛点)」は現在$75,000付近にある。マックスペインとは、オプションの売り手(主に大手金融機関)の損失が最小となる価格帯のことで、期限が近づくにつれ市場価格がその水準に引き寄せられる傾向がある。デ・メア氏はディーラーのポジションが脆弱であると指摘しており、この磁力が強く働くかは不透明な状況だ。

次の壁——テクニカルが示す道筋

次の壁——テクニカルが示す道筋

$72,000と$78,000の二段構えの抵抗

テクニカル分析(過去の価格データやチャートの形状から将来の動きを予測する手法)の観点から見ると、今回の反発は突破すべき関門を前に停滞する可能性が高い。直近の複数回の上昇では、いずれも$70,000〜$72,000の価格帯で売り圧力が強まり失速している。この水準は需給が拮抗する「抵抗帯(レジスタンスゾーン)」として機能しており、ここを週足終値ベースで明確に上抜けなければ下目線のトレーダーへの心理的優位が続く。

仮にこの抵抗帯を突破しても、次の壁として$78,000が待ち構えている。この水準にはより根拠のある意味がある。

True Market Meanとは何か

ビットフィネックスのアナリスト陣が注目するのが「True Market Mean(真のマーケット平均)」と呼ばれるオンチェーン指標だ。現在この値がちょうど$78,000付近に位置している。

True Market Meanとは、ビットコインのブロックチェーン(取引記録の公開台帳)上で実際に動いたコインの平均取得コストを推計する指標だ。平たく言えば「市場参加者の平均仕入れ値」に近い概念で、この水準を継続的に上回ると多くの参加者が含み益に転じ、利益確定売りの圧力が生まれやすくなる。逆に言えば、$78,000を週足ベースで維持できるようになれば、市場構造が根本から改善したシグナルとなる。

現時点でBTCは$69,000前後。$78,000までは約13%の距離があり、その手前に$70,000〜$72,000の抵抗帯も控えている。道のりは決して平坦ではない。

この記事のポイント

  • BTCは2月25日に$69,000付近へ急反発。火曜安値からの上昇幅は10%超で、ETH・SOL・DOGE・ADAも2桁高
  • 反発の主因はショートスクイーズ(売りポジションの強制買い戻し連鎖)で、明確なファンダメンタルズの改善は確認されていない
  • 月末に約11.5万BTC分のオプションが満期を迎え、マックスペイン$75,000付近への引き寄せが起きる可能性がある
  • テクニカル面の第一関門は$70,000〜$72,000の抵抗帯。これを週足で上抜けできるかが持続的上昇の最初の試金石だ
  • ビットフィネックスはオンチェーン指標「True Market Mean」の$78,000を週足で維持することが、構造的な強気転換の条件と指摘している

出典

  • CoinDesk「Bitcoin snaps back near $69,000 but analysts warn the market may not be out of the woods yet」(2026年2月25日)
共有:

コメントする

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)