Blockchain.comが年内IPOへ、目標調達額5億ドル

Blockchain.comが2026年末までの新規株式公開(IPO)を目指している。目標調達額は約5億ドル、企業評価額は最大60億ドルに達する可能性があると報じられた。

ロンドンを拠点とする同社は、今年初めに米証券取引委員会(SEC)へ秘密提出を行っている。上場に向けた審査プロセスが本格的に動き出した段階だ。

2026年は暗号資産企業のIPOが少ない年だった。ここ数カ月の相場回復を追い風に、新たな大型案件として動向が注目される。

Blockchain.comが年内IPOを目指す

Blockchain.comが年内IPOを目指す

Bloombergが9月28日、事情に詳しい関係者の話として報じたところによると、Blockchain.comは年末までの上場を目標にしている。投資家との協議の中で、約5億ドルの調達と40億〜60億ドルという企業評価額を軸に交渉が進められているようだ。

IPOとは、企業が株式を証券取引所に上場し、一般の投資家から資金を集めることを指す。暗号資産企業にとって上場は、資金調達の手段であるだけでなく、伝統的な金融市場から信任を得る意味合いも大きい。

目標調達額は約5億ドル

報道によれば、Blockchain.comは約5億ドルの調達を目指している。企業評価額は40億〜60億ドルが想定されており、時価総額ベースでは暗号資産業界でも上位に入る規模だ。

この評価額は、2025年に上場した暗号資産企業と比べても遜色のない水準といえる。投資家との協議は進行中であり、最終的な条件は変動する可能性がある。

SECへの秘密提出の意味

Blockchain.comは2026年5月、SECへIPOに向けた秘密提出を行っていた。秘密提出とは、財務内容などの詳細を一般に公開する前に、SECの審査プロセスを開始できる仕組みだ。

つまり、上場準備の段階では競合他社や一般投資家に情報を見せず、SECとの間だけで手続きを進められるということだ。米国の新興企業が上場する際によく使われるルートである。

2026年の暗号資産IPO市場は静かな1年だった

2026年の暗号資産IPO市場は静かな1年だった

2026年は暗号資産企業にとって、上場の機運が高まりにくい年だった。2025年に大型案件が相次いだ反動もあり、年明けからIPO市場は静かな状況が続いていた。

市場低迷がIPO延期を招いた

2026年上半期の暗号資産市場は軟調に推移した。この影響で、上場計画を持っていた複数の企業がスケジュールを見直したとされている。

企業は自社の評価額が高まるタイミングで上場したいと考える。暗号資産企業の場合、自社の収益だけでなく市場全体のセンチメントや暗号資産価格も評価に影響するため、相場の低迷はIPOの延期につながりやすい。

直近の相場回復が好機に

状況が変わったのはここ数カ月だ。暗号資産市場は持ち直しを見せており、ビットコインは9月に過去10年単位の記録を更新するペースで上昇しているとの報道もある。

市場が回復すれば、IPOを検討する企業の評価額も上がる。Blockchain.comの年内上場という目標は、こうした環境変化を背景にしている可能性が高い。

2025年は暗号資産企業の上場ラッシュだった

2025年は暗号資産企業の上場ラッシュだった

Blockchain.comのIPO計画を理解するには、前年の流れを押さえておく必要がある。2025年は暗号資産業界で大型の上場が相次いだ年だった。

Circleの上場で評価額62億ドル

ステーブルコインUSDCを発行するCircleは2025年6月、ニューヨーク証券取引所(NYSE)に株式を上場した。初値は31ドルで、企業評価額は約62億ドルに達した。

ステーブルコインとは、米ドルなどの法定通貨に価値を連動させることを目的とした暗号資産だ。CircleはUSDCを発行する中核企業として、暗号資産の決済や取引のインフラを支えている。

GeminiとBullishの大型案件

暗号資産取引所のGeminiも2025年9月に上場した。ウィンクルボス兄弟が設立した同社は、IPO価格を28ドルに設定し、企業評価額は30億ドルを超えた。

さらに、CoinDeskの親会社であるBullishも同年8月に株式を公開した。初日の取引では株価がIPO価格の2倍を超える水準まで上昇したとされる。

これらの事例は、暗号資産企業が公開市場で一定の評価を得られることを示した。一方で、2026年に入ると市場環境の変化により、新規のIPO案件は急減した。

Blockchain.comの事業内容と今後の焦点

Blockchain.comの事業内容と今後の焦点

Blockchain.comは2011年に設立された暗号資産サービス企業で、創業者のピーター・スミス氏がCEOを務めている。本社はロンドンに置く。

取引所・ウォレット・レンディングを展開

同社の事業内容は、暗号資産の取引所、ウォレット、トレーディング、レンディング(貸付)と多岐にわたる。特にウォレットサービスは同社の原点ともいえる事業で、個人投資家から機関投資家まで幅広い利用者を持つ。

ウォレットとは、暗号資産を保管するためのデジタルな財布の役割を果たすサービスだ。銀行口座のように、送金や受け取り、残高管理ができる。

上場企業としての課題と焦点

暗号資産市場では、大手取引所との競争が激しい。上場企業となれば四半期ごとの業績開示や内部統制の強化も求められるため、事業運営の透明性を一気に引き上げる必要がある。

投資家が注目するのは、同社が上場後にどのような成長戦略を示すかだ。取引所やウォレット、レンディングを組み合わせた収益モデルを、公開市場でどう評価させるかが焦点となる。

なお、CoinDeskのコメント要請に対し、同社は本記事について回答していない。

この記事のポイント

  • Blockchain.comが2026年末までのIPOを目指し、約5億ドルの調達と最大60億ドルの評価額を想定している
  • 同社は今年初めにSECへ秘密提出済みで、審査プロセスが進行中だ
  • 2026年は暗号資産IPOが少ない年だったが、直近の相場回復が追い風となる可能性がある
  • 2025年にはCircle、Gemini、Bullishなどの大型上場が実現していた
  • 同社はロンドン拠点で取引所・ウォレット・レンディング事業を展開している
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