GrayscaleがHyperliquid(HYPE)の現物ETFを申請、Bitwiseや21Sharesに続く

仮想通貨運用大手のグレースケール(Grayscale)が、分散型取引所(DEX)のHyperliquidに関連する新たな投資商品を世に送り出そうとしている。

2026年3月20日、同社は米証券取引委員会(SEC)に対し、Hyperliquidの独自トークンである「HYPE」の現物ETF(上場投資信託)の登録届出書(S-1)を提出した。

この動きは、すでに同様の申請を行っているBitwiseや21Sharesに続くものであり、特定のDeFi(分散型金融)プロトコルに対する機関投資家の関心の高まりを象徴している。

Hyperliquidとは何か?圧倒的なシェアを誇るDEXの正体

Hyperliquidとは何か?圧倒的なシェアを誇るDEXの正体

Hyperliquidは、仮想通貨の無期限先物(パーペチュアル)取引に特化した分散型取引所だ。独自トークンのHYPEは、記事執筆時点で39.56ドル前後で推移しており、前日比で0.84%ほど上昇している。

独自のL1ブロックチェーンとしての特徴

Hyperliquidの最大の特徴は、イーサリアムなどの既存チェーン上ではなく、独自のレイヤー1(L1)ブロックチェーン上で構築されている点にある。これにより、中央集権型取引所(CEX)に匹敵する高速な取引と、低い手数料を実現している。

L1(レイヤー1)とは、ビットコインやイーサリアムのように、それ自体が基盤となるネットワークのことだ。Hyperliquidはこの基盤を自前で持つことで、取引の処理能力を極限まで高めている。

無期限先物(パーペチュアル)取引の仕組み

無期限先物取引とは、一般的な先物取引とは異なり「満期(期限)」がない取引のことだ。ユーザーは期限を気にすることなく、レバレッジをかけて価格の上下に投資できる。

つまり、現物を持つことなく、将来の価格変動から利益を得る仕組みだ。Hyperliquidはこの分野で世界トップクラスのシェアを誇っており、DeFi市場における重要なインフラとなっている。

Grayscaleが申請した「GHYP」ETFの詳細

Grayscaleが申請した「GHYP」ETFの詳細

グレースケールが提出した書類によれば、この新しいETFは「Grayscale HYPE ETF」と命名されている。承認されれば、ナスダック(Nasdaq)市場にティッカーシンボル「GHYP」で上場する予定だ。

S-1登録届出書の役割と現状

S-1とは、企業が一般投資家向けに新しい証券を販売する際に提出する公開書類のことだ。今回の提出により、SECによる審査プロセスが正式に開始されることになる。

ただし、現時点では管理手数料などの具体的な詳細は公表されていない。まずは規制当局との対話を進め、上場に向けた外堀を埋めていく段階だといえる。

カストディアンとしてのCoinbaseの役割

グレースケールは、ETFが保有するHYPEトークンの保管(カストディ)を担当する企業として、米最大手取引所のコインベース(Coinbase)を指名している。

カストディアンとは、投資家の資産を安全に預かる機関のことだ。機関投資家向けのETFでは、資産の安全性が最も重視されるため、信頼性の高いコインベースとの提携は承認に向けた重要なポイントとなる。

ステーキング報酬の有無が分かつ各社の戦略

ステーキング報酬の有無が分かつ各社の戦略

今回のグレースケールの申請で注目すべき点は、現時点では「ステーキング」による報酬をETFに組み込んでいないことだ。しかし、将来的には導入を検討する可能性も示唆している。

Bitwiseと21Sharesの先行事例

競合他社の動きを見ると、Bitwiseはすでに2025年12月の修正申請において、ステーキング報酬をETFに組み込む方針を明らかにしている。21Sharesも同様の意向を示している。

ステーキングとは、保有しているトークンをネットワークの維持のために預け入れることで、報酬(利息のようなもの)を受け取る仕組みだ。これがETFに組み込まれれば、投資家は価格上昇だけでなく、保有によるインカムゲインも期待できるようになる。

Grayscaleがステーキング導入を保留する理由

グレースケールが慎重な姿勢を見せているのは、規制上のリスクを最小限に抑えるためとの見方がある。SECはステーキングを伴う商品に対して、より厳しい審査を行う傾向があるからだ。

まずはシンプルな現物ETFとして承認を得ることを優先し、その後にステーキング機能を追加するという、段階的なアプローチを取っていると考えられる。

なぜHyperliquidがETFの対象として選ばれたのか

なぜHyperliquidがETFの対象として選ばれたのか

ビットコインやイーサリアム以外で、特定のプロジェクトのトークンがETFの対象となるのは異例のことだ。そこには、Hyperliquidが持つ圧倒的な市場の優位性がある。

圧倒的な取引ボリュームと市場シェア

DeFiLlamaのデータによれば、Hyperliquidの週間取引高は400億ドルから1,000億ドルの間で推移している。これは分散型先物取引所の中で世界1位の数字だ。

2025年にはAsterやLighterといった競合プラットフォームも登場したが、Hyperliquidの牙城を崩すまでには至っていない。この「一人勝ち」に近い状態が、運用会社にとって魅力的な投資対象となっている。

24時間取引可能なRWA(現実資産)のハブ

Hyperliquidが注目されるもう一つの理由は、従来の金融市場が閉まっている時間帯でも、原油や金(ゴールド)といった「RWA(Real World Assets:現実資産)」の取引ができる点だ。

RWAとは、不動産やコモディティなどの現実世界の資産をデジタル化したものだ。伝統的な金融機関がHyperliquidを「24時間動く市場」として利用し始めていることが、今回のETF申請の背景にある。

独自の分析:アルトコインETF時代の幕開けと課題

独自の分析:アルトコインETF時代の幕開けと課題

今回のHYPE ETFの申請は、暗号資産市場が「ビットコイン・イーサリアムの2強時代」から、より多様な銘柄が機関投資家に受け入れられるフェーズに移行したことを示している。

BTC・ETH以外の銘柄が浸透する条件

ただし、どんなアルトコインでもETFになれるわけではない。機関投資家が求めるのは「実需」と「流動性」だ。Hyperliquidのように、実際に莫大な取引が行われ、明確な収益モデルがあるプロジェクトでなければ、SECの厳しい審査は通らないだろう。

今回の申請が承認されれば、ソラナ(SOL)やその他の主要なDeFiトークンにとっても、ETF化への道が開かれる大きな転換点になるはずだ。

SECの審査プロセスと承認の可能性

SECがこの申請をどう判断するかは依然として不透明だ。しかし、グレースケールのような大手が動いたということは、法的な勝算が一定程度あると踏んでいる証拠でもある。

投資家としては、価格変動だけでなく、こうした規制当局とのやり取りや、ステーキング機能の追加といった続報に注目しておく必要がある。DeFiが「一部のマニアのもの」から「伝統的金融の一部」へと変わる瞬間を、我々は目撃しているのかもしれない。

この記事のポイント

  • グレースケールがHyperliquid(HYPE)の現物ETF「GHYP」をSECに申請した。
  • Hyperliquidは世界最大の分散型先物取引所であり、独自のL1チェーンを保有している。
  • Bitwiseや21Sharesも同様のETFを申請しており、機関投資家の獲得競争が激化している。
  • ステーキング報酬の組み込みについては、グレースケールは将来的な検討事項としている。
  • 承認されれば、特定のDeFiプロジェクトに特化したETFの先駆けとなる可能性がある。

出典

  • Cointelegraph「Grayscale files S-1 for Hyperliquid ETF, joining Bitwise, 21Shares」(2026年3月21日)
  • SEC「Grayscale Hyperliquid Trust S-1 Registration Statement」(2026年3月20日)
  • DeFiLlama「Hyperliquid Protocol Data」(2026年3月21日参照)
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