マネーグラムが独自ステーブルコインMGUSDを発表、ステラネットワークで国際送料革命

国際送金大手のマネーグラムが独自のステーブルコイン「MGUSD」を発表した。ステラネットワーク上で稼働し、国際送金コストの劇的な削減を目指す。この動きは、従来の送金インフラが抱える高コスト構造への正面からの挑戦だ。

国際送金にはいまだに高額な手数料がつきまとう。世界銀行のデータによれば、2025年第3四半期時点で200ドルを海外に送るための平均コストは送金額の6.36%、12.72ドルにものぼる。国連の持続可能な開発目標である3%の倍以上だ。マネーグラムの新サービスは、この構造を根底から覆す可能性を秘めている。

MGUSDとは何か、そしてなぜステラなのか

MGUSDとは何か、そしてなぜステラなのか

MGUSDはマネーグラムが発行する米ドル連動型のステーブルコインだ。1MGUSDは常に1米ドルと等価で取引されるよう設計され、価格の安定性を担保する。利用者は銀行口座を持たない人々を含め、暗号資産ウォレットを通じてドル価値のデジタル通貨を保持し、国境を越えて瞬時に送金できるようになる。

基盤に選ばれたのはリップルとは異なる送金特化型ブロックチェーン「Stellar(ステラ)」だ。ステラネットワークは送金に最低限必要な手数料として1操作あたり0.00001XLM(約0.000002ドル)しか要求しない。これは事実上無料といってよい水準である。既存の国際電信送金システムが数ドルから数十ドルの手数料を取るのとは対照的だ。

ステラはもともと金融包摂を掲げて設計されたネットワークである。送金手数料の安さと高速な決済速度が特徴で、発展途上国での少額送金に適している。マネーグラムがステラを選んだのは、送金ビジネスとの親和性の高さが決め手だったといえる。

国際送金の「隠れたコスト」が消える意味

国際送金の「隠れたコスト」が消える意味

国際送金の高コストは、単に手数料が高いだけではない。問題は外貨交換時に上乗せされる為替マージンにある。銀行や送金業者は公表手数料とは別に為替レートに1~3%のマージンを織り込むことが一般的だ。つまり利用者は二重にコストを負担している。BIS(国際決済銀行)の2026年のレポートも、国際送金が国内送金に比べて「コストが高く、アクセスが悪く、遅く、不透明」であると指摘している。

MGUSDが実用化されれば、ドル建てステーブルコインを直接送れるため為替マージンが発生しない。送金のプロセスは「ウォレットからウォレットへMGUSDを移す」だけだ。ブロックチェーンの決済レイヤー部分のコストは上述のとおり極小だが、法定通貨をMGUSDに交換する入口(オンランプ)と、MGUSDを現地通貨に戻す出口(オフランプ)では依然として手数料が発生する可能性がある。それでも、既存の6.36%というコストを大幅に下回ることは確実とみられている。

顧客にとっては決済時間の短縮も大きい。従来の国際送金は中継銀行を経由するため着金まで数日かかることが珍しくない。ステラネットワークなら数秒で決済が完了する。資金の滞留リスクも減り、ビジネス用途での信頼性も高まる。

背後にある巨大な市場と競合の動き

背後にある巨大な市場と競合の動き

ステーブルコイン市場は急速に拡大している。DefiLlamaのデータによればステーブルコインの時価総額は約3,200億ドルに達し、金融大手シティグループは2030年までに発行高が1.9兆ドルに達するとの予測を2025年9月に発表した。送金業界がこの流れに乗るのは必然だったといえる。

実際に業界内の動きは加速している。マネーグラムは5月5日に暗号資産取引所クラーケンと提携し、100カ国以上で暗号資産から現金への引き出しを可能にした。さらに5月20日にはストライプが育成したブロックチェーン「Tempo」とも提携、ステーブルコイン決済の検証基盤を強化している。

最大の競合であるウエスタンユニオンも動き出した。5月5日、ソラナネットワーク上で自社ステーブルコイン「USDPT」の提供をボリビアとフィリピンで開始。2026年中に40カ国以上への拡大を計画している。両社の動きは、既存の送金インフラがブロックチェーンによる置き換えを前提に動き始めたことを示している。

マネーグラムの狙いと残る課題

マネーグラムの狙いと残る課題

マネーグラムにとってMGUSDは単なる新サービスではない。世界中に張り巡らせた代理店網にデジタル送金の選択肢を加えることで、銀行口座を持たない無数の送金需要を取り込む戦略だ。ステーブルコインを発行するということは自社が決済の基軸通貨をコントロールできることを意味し、将来的な金融サービスの幅も広がる。

ただし課題も明確にある。まず規制の不確実性だ。ステーブルコインを巡る法整備は各国で進行中であり、マネーグラムがサービスを展開する新興国の中には明確なルールが未整備の国も多い。次に流動性の問題がある。新規発行のステーブルコインが広く使われるには、人々がそれを「ドルと同じ価値がある」と信頼することが不可欠で、普及には時間がかかる。

さらに、出口(オフランプ)戦略も重要だ。途上国では暗号資産を現地通貨に換える場所が限られている。マネーグラムの店舗網を活かせるかどうかが、USDPTを展開するウエスタンユニオンとの差別化ポイントとなるだろう。ステラネットワークの低コストを活かしつつ、リアルな現金化ポイントをいかにシームレスに接続するか、ここが勝負の分かれ目になるとみられる。

この記事のポイント

  • マネーグラムがStellarネットワーク上で米ドル連動ステーブルコインMGUSDを発行
  • 国際送金の平均コスト6.36%を、ブロックチェーン送金で大幅に削減する狙い
  • 競合のウエスタンユニオンもSolana上でUSDPTを展開し、業界全体でステーブルコイン移行が加速
  • 規制対応や流動性確保、現金化ポイントの整備など実用化への課題も残る
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