米金融大手モルガン・スタンレーが立ち上げたイーサリアム(ETH)ETFとソラナ(SOL)ETFが取引2日目にして合計3300万ドルの資金を集めた。業界最大手のブラックロックETFをしのぐ勢いで滑り出した形だ。
イーサリアム信託「MSSE」は約1400万ドル、ソラナ信託「MSOL」は約1900万ドルの純流入をそれぞれ記録。この結果は、市場全体の純流出が観測されたイーサリアムETFセクターや、まだ歴史の浅いソラナETF市場において際立つ存在感を示している。
背景には、モルガン・スタンレーの1.6万人の金融アドバイザーとE*TRADEといった強力な販売チャネル、さらに競合を下回る低コスト構造の存在がある。ウォール街の巨人が暗号資産ETFの勢力図を塗り替えつつある状況を掘り下げる。
2日目の流入実績が示す競争優位

SoSoValueの集計によれば、7月30日の取引でMSSEが集めた1403万ドルは注目に値する。米国の現物イーサリアムETF市場全体では同日に約1900万ドルの純流出が発生しており、ブラックロックのETHAですら資金が逃げる地合いだったためだ。
MSSEはカテゴリー全体の逆風をはねのけ、事実上唯一の大幅流入を達成した格好になる。2日間の累積でこのファンドが運用する資産は約2000万ドルに達しており、ビットコインETFで先行してきたノウハウが早くもETHへ応用されている。
ソラナETF市場で独占的な資金吸収
MSOLの1903万ドルという流入額は、米国で取引されるすべてのソラナETFへの当日の新規資金と同額である。SoSoValueによれば、MSOLを除く8本の既存ソラナファンドの純資産合計は約8億4200万ドル。わずか2日間の取引歴でこれらと同程度の日次資金を集めたことになる。
ソラナETFはイーサリアムETFに比べて歴史が浅く、競合ファンドの資産規模もまだ小さい。MSOLの快走は、ブランド力と販売網が商品選定に直結する局面であることを鮮明にしている。
強みは販売力と0.14%の運用コスト

モルガン・スタンレーのETFが発揮する競争力の中核には、約1万6000人の金融アドバイザーと世界最大級のウェルスマネジメント基盤がある。これに加えて、E*TRADEを通じた個人投資家へのアクセスも無視できない。運用部門の運用資産は約2兆ドルにのぼり、1300人超の投資プロフェッショナルが支えている。
ブルームバーグのETFアナリスト、エリック・バルチュナス氏は、この2つの新ファンドがそれぞれのカテゴリーにとって第1波以来の最重要な参入だと評価している。多くの暗号資産特化型の発行体では到達できない顧客層にリーチできる点が最大の差別化要因というわけだ。
0.14%の低コストとステーキング報酬の魅力
MSSEとMSOLはいずれも運用経費率0.14%に設定されており、既存のETFと比べても最安水準に位置する。単純な価格競争だけでなく、ファンドは保有資産の一部をステーキングし、その報酬を株主に分配する仕組みを採用している。
イーサリアムやソラナのプルーフ・オブ・ステーク(PoS)システムから得られる利回りは、投資家にとって価格変動以外の収益源になる。コストが低いほど手取りのリターンは増えるため、長期保有を考える層には訴求力が強い。モルガン・スタンレーは既存のビットコイン信託(資産約4億ドル)で培った暗号資産ETFの運営実績も、ここで生きている。
市場全体の動向と今後の見通し

暗号資産市場全体の時価総額は約2兆2100億ドル、24時間の取引高は約591億ドルで推移し、ビットコインのドミナンスは58.8%前後にある。こうした中、原資産であるイーサリアムは直近24時間で1.7%上昇しており、ETFへの好感が現物市場にも波及した可能性がある。
モルガン・スタンレーの参入は、ETF発行体の多様化が加速しているサインでもある。ブラックロック、Bitwise、Grayscale、VanEck、21Sharesといった既存勢に加え、ハイパーリキッドやチェーンリンクなどアルトコインETFの計画も報じられるなか、規制対応と手数料競争が一段と激化するのは確実だ。
こうした動きは、暗号資産ETFが単なるビットコインの箱から脱却し、多様なポートフォリオ構築手段として定着しつつあることを示している。ウォール街の名門が低コストで参入すれば、販売網に勝る大手がますます有利になる半面、革新的な商品設計で差別化を図る小規模発行体の淘汰も進むだろう。
この記事のポイント
- モルガン・スタンレーのETH ETF「MSSE」は取引2日目に1403万ドルを集め、市場全体が純流出のなかブラックロックETHAを上回った
- SOL ETF「MSOL」は同日の米国ソラナETFへの全流入1903万ドルを独占し、既存ファンドを圧倒
- 1.6万人のアドバイザー網とE*TRADE、0.14%の低コスト、ステーキング報酬の配分が強力な競争力に
- ウォール街の大手参入でETFの低コスト競争が加速し、アルトコインETF市場の再編が進む見通し

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