Morgan StanleyがETH・SOLのETF手数料を業界最低水準に設定

Morgan StanleyのETF戦略がさらに加速

Morgan StanleyのETF戦略がさらに加速

米大手金融機関Morgan Stanley(モルガン・スタンレー)が、イーサリアム(ETH)とソラナ(SOL)の現物ETF(上場投資信託)に関する修正申請書を米国証券取引委員会(SEC)に提出した。今回の書類で明らかになったのは、両ファンドの運用コストが業界最低水準に設定されている点だ。

ETFとは、証券取引所で株式と同じように売買できる投資信託のこと。暗号資産の現物ETFは、投資家が直接ウォレットで管理する手間なく、証券口座を通じてビットコインやイーサリアムに投資できる手段として急成長している。

2度目の修正申請で見えた着実な前進

The Blockの報道によれば、6月19日に提出されたこの書類は、両ETFにとって2度目の修正申請にあたる。初回の申請は2026年1月に行われており、約半年の間にSECとの間で活発なやり取りが行われていることを示している。

ETFの承認プロセスでは、こうした修正申請の提出と内容の開示は、規制当局とのコミュニケーションが前向きに進んでいる兆候と受け止められることが多い。Morgan Stanleyは先にビットコイン現物ETF「MSBT」を4月にローンチしており、この時の経験がETHとSOLの申請にも活かされている格好だ。

最低水準の手数料がもたらすもの

最低水準の手数料がもたらすもの

今回の修正申請で最も注目を集めているのが、スポンサーフィー(運用管理費用)の設定だ。両ETFともに0.14%と、米国市場のイーサリアムETF、ソラナETFのいずれと比較しても最も低い水準になる。

スポンサーフィーとは、ETFの運用会社が投資家から受け取る管理手数料のこと。投資家にとっては、このコストが低いほど手元に残るリターンが増えるため、手数料の安さは商品選びの重要な判断基準となる。

既存商品との比較で浮かぶ競争力

暗号資産データを提供するSoSoValueの集計によると、現在米国で最も低コストなイーサリアムETFはGrayscaleのMini Ethereum Trustで、スポンサーフィーは0.15%だ。ソラナETFではFranklin TempletonのSOEZが0.19%で首位に立っている。Morgan Stanleyの0.14%という数字は、これらをさらに下回る計算になる。

0.01%の差は一見小さく思える。だが、数千万ドル、数億ドル規模の資金が流入するETF市場では、このわずかな差が年間のコスト負担に数十万ドル単位の違いを生む。大口の機関投資家ほど、この差をシビアに評価する傾向がある。

ステーキング収益という新たな仕組み

ステーキング収益という新たな仕組み

修正申請のもう一つの大きな論点は、両ETFが保有する暗号資産の一部を「ステーキング」に回す計画を明記したことだ。

ステーキングとは、ブロックチェーンネットワークの運営に自分の暗号資産を預け入れ、その対価として報酬を得る仕組みだ。銀行預金にたとえれば、預けた資金を銀行が運用し、その利息の一部が預金者に支払われるイメージに近い。イーサリアムやソラナのようなプルーフ・オブ・ステーク(PoS)型のブロックチェーンでは、このステーキングがネットワークの安全性を支える根幹となっている。

ステーキングサービス提供者の役割

申請書では、Figment Inc.、Galaxy Blockchain Infrastructure LLC、Coinbase Canada, Inc.の3社がステーキングサービス提供者として指名されている。これらの企業は、ETFが保有するETHやSOLを実際にブロックチェーン上でステーキングし、報酬を獲得する技術的な運用を担う。

専門的なノード運用やセキュリティ対策が必要なステーキング業務を、ETFの発行体であるMorgan Stanley本体ではなく、実績のあるインフラ企業に委託する形だ。これはリスク管理の観点からも合理的な選択といえる。

ステーキング報酬と手数料の分配設計

ステーキングで得られた報酬は、そのまま投資家のリターンに上乗せされる構造だ。ただし、獲得した報酬の5%はステーキングサービス提供者とカストディアン(保管機関)への手数料として分配されることが、今回の書類で明らかにされた。

この分配設計は、投資家にとって二重の意味で重要だ。まず、保有しているだけで追加の収益が期待できる点。次に、その収益の一部がインフラ提供者に支払われることで、運用の安定性が保たれる点だ。ETFを通じた間接的なステーキング参加は、個人で複雑な設定を行うよりも遥かに手軽で、かつ手数料も明確に開示されている。

先行するビットコインETFの実績と比較

先行するビットコインETFの実績と比較

Morgan Stanleyが今回のETH・SOL ETFに先駆けてローンチしたビットコインETF「MSBT」は、4月の取引開始以来、堅調な資金流入を記録している。6月18日時点での累積純流入額は約3億70万ドル(約3億ドル)に達しており、この成功が後続商品への自信につながっていると見られる。

MSBTが示す低コスト戦略の成果

MSBTも0.14%のスポンサーフィーを採用しており、既存のビットコインETFよりも低コストで市場に参入した。競合がひしめくビットコインETFセクターで差別化に成功したことで、ETH・SOL ETFでも同じ低コスト戦略が踏襲された形だ。

市場関係者の間では、資産運用大手による暗号資産ETF分野への本格参入が、業界全体の手数料引き下げ競争を加速させる契機になるとの見方がある。実際に、MSBTの登場後、既存ファンドの一部も手数料見直しを迫られていると指摘する声もある。

大手金融機関参入が市場に与える影響

大手金融機関参入が市場に与える影響

Morgan Stanleyのようなウォール街の老舗が、ビットコイン、イーサリアム、ソラナと複数の暗号資産ETFを矢継ぎ早に投入している構図は、業界の成熟度が新たな段階に入ったことを示している。

特に今回のETH・SOL ETFでは、ステーキング報酬の還元という、これまでの暗号資産ETFにはなかった要素が組み込まれている。単に価格変動に連動するだけでなく、保有そのものから収益を生む設計は、投資商品としての魅力を一段と高める要素だ。

手数料競争の加速と市場の成熟化

ETF市場での手数料競争は、投資家にとっては歓迎すべき流れだ。運用コストの低下は長期保有時の複利効果を高め、より多くの資金を市場に呼び込む呼び水となる。Morgan Stanleyの参入が引き金となり、GrayscaleやFranklin Templetonといった既存プレイヤーもさらなる手数料引き下げを検討する可能性がある。

一方で、低手数料を実現するためには、相応の運用資産規模が必要になる。Morgan Stanleyは巨大な顧客基盤と販売網を持つため、スケールメリットを早期に獲得できる立場にある。中小の運用会社が同じ土俵で戦うのは容易ではないとの指摘もある。



この記事のポイント

  • Morgan StanleyがETH・SOL現物ETFの修正申請を提出し、ローンチに向けたプロセスが進行中
  • スポンサーフィーは両ETFとも0.14%で、米国市場のETH・SOL ETFで最低水準となる見込み
  • ステーキングによる追加収益を投資家に還元する設計で、既存ETFとの差別化を図る
  • 先行するビットコインETF MSBTは約3億ドルの純流入を達成し、低コスト戦略の有効性を実証
  • 大手金融機関の本格参入で、暗号資産ETF市場の手数料競争と商品革新が加速する可能性が高い
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