野村傘下Laser Digitalが日本初上陸、4年ぶり新規の暗号資産交換業者登録

野村ホールディングス傘下のLaser Digitalが、日本で4年ぶりに暗号資産交換業者として新規登録された。まず国内の暗号資産交換業者などに流動性を提供し、その後は大口の法人投資家向け取引サービスへ段階的に拡大する方針だ。

暗号資産交換業者とは、日本で暗号資産の売買や交換を事業として行うために必要な金融庁の登録だ。8月21日付けの発表によると、暗号資産を金融商品として扱う制度改正から約1か月後のタイミングで、Laser Digitalの日本法人がこの登録を受けた。

本記事では4年ぶりの新規参入の背景、Laser Digitalの事業構想、日本の市場への影響を整理する。

4年ぶりの新規登録、野村傘下Laser Digitalとは

4年ぶりの新規登録、野村傘下Laser Digitalとは

Laser Digital Japanの登録は、2022年以来4年ぶりの新規事例だ。日本の暗号資産交換業者になるには、マネーロンダリング対策や顧客資産の分別管理など、金融庁の厳格な審査を通過しなければならない。新規登録が4年間なかった事実は、この業界の参入障壁が高かったことをそのまま示している。

Laser Digitalは野村ホールディングスのデジタル資産子会社だ。親会社の野村は国内最大級の投資銀行グループであり、伝統的な金融機関が持つ信用力やコンプライアンス体制を背負いながら、暗号資産分野へ橋を渡す役割を狙う。

登録までの経緯

同社は日本での暗号資産サービス拡大計画を2025年後半に明らかにしていた。今回の登録によって、規制上の正式な事業基盤を国内に確保したことになる。海外ではすでに機関投資家向けのデジタル資産サービスを展開しており、日本の登録はアジア戦略の節目といえる。

この登録には、暗号資産を単なる投機対象ではなく、金融機関が正式に扱う資産クラスとして整えようとする動きが重なっている。制度改正のタイミングに合わせて参入の準備を進めてきたことが、今回の許可につながったとみられる。

野村グループとの関係

野村ホールディングスは日本を代表する金融グループだ。Laser Digitalはそのデジタル資産分野の中核会社であり、顧客基盤や国際的なネットワークを活用できる立場にある。伝統金融の看板があるからこそ、保守的な大口投資家にもアプローチしやすい。

一方で、暗号資産市場は価格変動や法規制の変化が大きい。親会社の信用力だけでは事業は成立せず、リスク管理体制と暗号資産に特化した人材の両方が求められる。新規登録は入り口であり、実績づくりはこれからだ。

暗号資産の金融商品化、日本市場の追い風

暗号資産の金融商品化、日本市場の追い風

日本は2026年7月15日、暗号資産を金融商品として再分類した。株や債券と同じ法的なカテゴリーに移すことで、開示や監視のルールを整え、伝統的な金融機関が参加しやすい環境を作る狙いがある。

今回のLaser Digitalの登録は、その制度転換から約1か月後に行われた。参入の追い風になったことは間違いない。単に規制が緩くなったのではなく、何を守れば事業を営めるのかが明確になった点が大きい。

新しい枠組みとETFの可能性

金融商品化によって、暗号資産ETFの組成に向けた法的な基盤ができた。ETFとは証券取引所に上場され、株と同じように売買できる投資信託だ。個人投資家が証券口座を通じて暗号資産の値動きに投資しやすくなる。

ETFが実現すれば、秘密鍵の管理や取引所の選び方に悩むことなく、暗号資産への間接投資が可能になる。投資初心者や年金基金など、これまで参入しにくかった層にとっては大きな変化だ。

税制改正と投資家の期待

新しいルールは2027年に施行される見通しだ。暗号資産の所得を別枠で扱う税制も検討されている。現在の日本では暗号資産の利益が給与などと合算され、高税率になることが個人投資家の不満になっている。税制が変われば、長期保有や少額投資をしやすくなる。

大口投資家にとっても、税制の透明性は参入判断の材料になる。制度面の道筋が整えば、日本市場はこれまで以上に海外の金融機関から見て魅力的になる。Laser Digitalの登録はその流れを先取りした動きといえる。

Laser Digitalの事業戦略、流動性提供から大口投資家向けへ

Laser Digitalの事業戦略、流動性提供から大口投資家向けへ

Laser Digitalは最初に、国内の仮想資産サービス事業者へ流動性を提供する。流動性提供とは、売り注文と買い注文を同時に提示し、取引が成立しやすい状態を保つ行為だ。市場に厚みが生まれ、投資家は希望に近い価格で売買しやすくなる。

その後、機関投資家向けのデジタル資産取引へ拡大する計画だ。機関投資家とは年金基金や保険会社、投資信託など、巨額の資金を運用する法人投資家を指す。サービスの開始時期や詳細な内容はまだ公表されていない。

まず手がける流動性提供

新しい参入者が流動性を供給すると、国内の取引所や取引プラットフォームは売買の厚みを借りることができる。結果として一般の利用者にも、約定しやすい環境として恩恵が広がる。

同社は暗号資産の価格変動リスクを管理しながら、取引の相手方として市場を支える役割を想定している。伝統金融由来のリスク管理手法を暗号資産市場に持ち込むことは、国内市場の品質向上につながる可能性がある。

機関投資家需要と信頼インフラ

機関投資家の需要は数字にも表れている。野村とLaser Digitalが2026年に公表した調査では、回答者の79%が今後3年以内に暗号資産へ投資する計画を示した。暗号資産が一時的な流行ではなく、資産配分の一部になりつつあることを裏付けている。

Laser Digitalの共同創業者兼CEO、Jez Mohideen氏は「日本のデジタル資産市場は新たな成熟段階に入りつつある」と述べた。そのうえで、大口投資家の関心が高まるなか、彼らの要件に合わせて設計された信頼できる取引相手とインフラが必要だという見方を示している。

共同創業者でエグゼクティブチェアマンのSteve Ashley氏は「洗練された投資家はアクセス手段と、その背後にあるインフラの質をますます求めるようになっている」と語った。両氏のコメントは、単なる売買機能を超えた安全性と信頼性が競争軸になるとの認識を示している。

日本の暗号資産市場に何をもたらすか

日本の暗号資産市場に何をもたらすか

野村グループ傘下のLaser Digitalが参入したことで、日本の暗号資産市場は転換点を迎えた。ここまで国内市場は既存の取引所が中心で、新規登録も限られてきた。海外の大手金融系プレーヤーが日本法人として正式に参入した意味は小さくない。

伝統金融と暗号資産の橋渡し役が増えれば、価格変動の激しさを懸念して様子見していた機関マネーが段階的に流入する可能性がある。流動性の向上は市場の安定にも寄与するため、参加者全体にとってプラスに働きやすい。

4年ぶり参入が示すもの

4年ぶりの新規登録がLaser Digitalに実現したのは、制度面の不透明さが和らいだ証拠ともいえる。従来の登録審査は海外勢にとって重い参入障壁だった面があり、それが日本の暗号資産市場を内向きにしてきた可能性がある。

今回の登録は、日本の規制当局が国際的なプレーヤーを受け入れる用意があることを示した。今後、同様の金融機関が日本市場を再評価し、続いて参入してくる可能性は十分にある。

国内取引所と投資家への影響

国内の暗号資産取引所にとっては、強力な競合が現れた形になる。他方でLaser Digitalは最初に流動性を供給する立場であり、既存事業者と全面的に対立する構図ではない。協力関係と競争関係が並行する複雑な局面が続く。

投資家の立場では、商品やサービスの選択肢が広がる利点がある。ただし新規参入によるサービス改善はまだ始まったばかりだ。ETFや税制改正の行方とあわせて、実際にどれだけ利用しやすい環境が整うのかを見極める必要がある。

この記事のポイント

  • 野村傘下のLaser Digital Japanが2022年以来4年ぶりに暗号資産交換業者として登録
  • 当初は国内事業者へ流動性を供給し、その後機関投資家向け取引へ拡大する計画だ
  • 日本の暗号資産金融商品化と税制改正は2027年の施行が見込まれる
  • 野村とLaser Digitalの調査では回答者の79%が3年以内の暗号資産投資を予定
  • 伝統金融の参入で日本の市場整備と機関マネー流入が進む可能性がある
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