Strategyが約20億ドルのBTC追加購入、保有総額は843,738BTCに

Strategy社(旧MicroStrategy)が2,000億円規模のビットコイン追加購入を実施した。1回の購入額としては過去最大級で、同社のビットコイン保有総量は約843,700BTCに達している。

米証券取引委員会(SEC)への提出書類によると、平均取得単価は約81,000ドル。これによりStrategy社のビットコイン平均取得コストは約75,700ドルに上昇した。今回の購入資金の大部分は、永久優先株式STRCの売却を通じて調達されている。

この動きは、機関投資家によるビットコイン戦略的保有の新たな段階を示すものだ。単なる企業財務の多様化を超え、ビットコインを中核資産と位置づける企業が、独自の金融商品を活用してまで保有量を拡大する姿勢が鮮明になっている。

購入の詳細と保有規模

購入の詳細と保有規模

Strategy社がSECに提出したForm 8-Kによれば、今回の購入で取得したビットコインの平均価格は1BTCあたり約80,985ドル。取得総額は約20億ドル(約3,000億円)にのぼる。

これにより同社のビットコイン保有総量は843,738BTC、取得総額は約638億7,000万ドル(約9兆5,800億円)に達した。記事執筆時点での評価額は約653億ドル(約9兆8,000億円)と、含み益が約14億ドル生じている計算だ。

Strategy社のビットコイン保有量は、世界最大の資産運用会社ブラックロックが顧客向けに保有する約817,000BTCを大きく上回る。企業として単独でこれだけのビットコインを直接保有している例は他にない。

2020年以来109回目の購入

Strategy社のマイケル・セイラー共同創業者は今回の購入に先立ち、同社のビットコイン購入履歴を示すチャートをSNSに投稿。2020年の初回購入以降、今回で109回目の取得イベントとなることを示唆していた。

直近では2026年4月に約34,164BTC(当時のレートで約23億ドル相当)を購入したばかりで、大型購入の頻度が加速している。同社のビットコイン戦略は一時的な投機ではなく、長期的かつ体系的な資産蓄積計画であることが、購入パターンからも読み取れる。

資金調達の構造、STRCが主軸に

資金調達の構造、STRCが主軸に

今回の購入で注目すべきは、資金調達方法の変化だ。SEC提出書類によれば、調達額の約97%(約19億5,000万ドル)が永久優先株式STRCの売却によるものだった。

具体的には、約1,950万株のSTRCを売却して約19億5,000万ドルを調達。一方、同社のクラスA普通株式(MSTR)の売却による調達額は約8,370万ドル(約43万株)にとどまった。

優先株式とは何か

優先株式とは、普通株式より配当の優先権を持つ株式のことを指す。通常の株式と異なり、企業の経営参加権(議決権)は制限されるが、安定した配当を受け取れる点が特徴だ。Strategy社のSTRCは「永久優先株式」と呼ばれ、償還期限がなく理論上は半永久的に配当を支払い続ける設計になっている。

つまりStrategy社は、ビットコイン購入のための資金を、株式市場でビットコインの価格変動リスクを取らずに安定収益を求める投資家層から調達しているわけだ。これは企業財務と暗号資産投資を橋渡しする新しい金融モデルと言える。

STRCの市場反応

STRCの市場パフォーマンスを追跡するSTRC Liveのデータによれば、今回の購入週にSTRCの取引が急増。1日で1,510万株が取引された日もあり、これは過去最高の出来高だった。この活発な取引により、約15,466BTC相当の購入資金が調達されたと推定されている。

これまでの大型購入でも同様のパターンが見られた。2026年4月の約34,164BTC購入時も、資金の大部分は普通株式ではなく優先証券を通じて調達されていた。STRCを活用したビットコイン蓄積モデルは、Strategy社の標準的な手法として定着しつつある。

ビットコイン「売却」発言の真意

ビットコイン「売却」発言の真意

今回の購入発表の約1週間前、セイラー氏は決算説明会で「ビットコインの売却も選択肢になりうる」と発言し、市場に波紋を広げた。

セイラー氏の発言の趣旨は、「絶対に売らない」という硬直的な方針が、長期的には資産価値の保護にむしろマイナスに働く可能性があるというものだった。資産運用の柔軟性を確保することで、究極的にはより多くのビットコインを蓄積し、長期保有するための手段だという論理だ。

実際、今回の大規模購入がその直後に実行されたことからも、売却検討の発言はビットコインへのコミットメント低下を意味するものではなかったことがわかる。むしろ、財務戦略の選択肢を広げることで、より積極的な購入を継続するための布石だったと見るべきだろう。

機関投資家のビットコイン戦略に与える影響

機関投資家のビットコイン戦略に与える影響

Strategy社の今回の動きは、単なる一企業の投資判断を超えた意味を持つ。優先株式という伝統的金融商品をビットコイン購入の資金源として大規模に活用したことで、他の上場企業が追随する際の雛形となる可能性があるからだ。

2024年の米国での現物ビットコインETF承認以降、機関投資家のビットコインへのアクセス手段は拡大してきた。しかしStrategy社のモデルは、ETFを通じた間接保有ではなく、企業自身がビットコインをバランスシートに直接組み込み、そのための資金調達手法まで自社で開発するという、より踏み込んだアプローチだ。

直接保有とETF保有の違い

ブラックロックのETFが約817,000BTCを顧客資産として保有しているのに対し、Strategy社の約843,700BTCは自社資産だ。ETFの場合、ビットコインの価格変動リスクとリターンは投資家に帰属するが、Strategy社の場合は株主に直接帰属する。

さらに、Strategy社はビットコインを担保にした資金調達や、ビットコインを中核に据えた新たな金融商品の開発など、ETFでは実現できない戦略的活用の道も探っている。ビットコインの「ホドラー(長期保有者)」としてだけでなく、ビットコインを金融インフラとして活用する企業へと進化しているのだ。

この記事のポイント

  • Strategy社が約20億ドル(約3,000億円)のビットコインを追加購入し、総保有量は843,738BTCに達した
  • 購入資金の97%は永久優先株式STRCの売却で調達、独自の資金調達モデルが定着
  • 保有量はブラックロックの顧客向け保有量を上回り、企業単独では群を抜く規模
  • 直前に「売却も選択肢」と発言したセイラー氏だが、購入継続で戦略の一貫性を示した
  • 優先株式を活用したビットコイン蓄積モデルは、他企業の追随を促す可能性がある
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