タイがビットコイン・イーサリアムETFを国内解禁、10月16日施行へ

タイ証券取引委員会(SEC)は10月9日、国内の資産運用会社がビットコインとイーサリアムに連動するETF(上場投資信託)を設定できる新規則を発表した。施行日は10月16日だ。

今回の変更でタイの投資家は、外国のETFや直接の暗号資産取引に頼らず、国内の証券取引所を通じて規制された形でこれら2つの暗号資産に投資できるようになる。投資家保護の仕組みも同時に整備される。

暗号資産の普及率が人口の20%に達するタイが、個人投資家にも開かれた国内ETF市場を整備する。この動きは東南アジアの規制競争に影響を及ぼす可能性がある。

タイSECが国内ETFを解禁、10月16日施行

タイSECが国内ETFを解禁、10月16日施行

新規則の概要

タイSECが10月9日に公表した規則は、国内の資産運用会社が暗号資産ETFを組成してタイ証券取引所に上場させることを認める内容だ。当初の対象となる暗号資産はビットコインとイーサリアムの2銘柄に限られる。

ETF(上場投資信託)とは、証券取引所で株式と同じように売買できる投資信託のこと。特定の指数や資産の値動きに連動することを目指す商品で、投資家は個別の暗号資産を直接保有せずに価格変動の恩恵を受けられる。

新規則では、各ETFが追跡する暗号資産は1種類に限定される。ファンドの純資産価値の80%以上をその対象資産に振り向ける必要がある。複数の暗号資産を組み合わせたバスケット型の商品は、現時点では認められない。

ETFの仕組みと投資対象

タイ証券取引所に上場する暗号資産ETFは、通常の株式や債券ETFと同じ取引の仕組みに乗る。投資家は証券口座を通じて売買でき、価格は市場でリアルタイムに形成される。

対象がビットコインとイーサリアムに限定されたのは、時価総額と流動性の高さが考慮されたとみられる。規制当局はまず実績のある2銘柄から始め、市場の反応や運用状況を見ながら対象を広げる可能性がある。

投資家保護と取引の制限

投資家保護と取引の制限

個人投資家を守るための条件

タイSECはETFの販売に当たり、投資家がリスクを理解していることを確認する手続きを義務付けた。暗号資産の価格変動の大きさを認識した上で購入する仕組みだ。

証券会社が顧客に暗号資産ETFの購入資金を融資することも禁止される。借金をしてまで投機的な取引に手を出すことを防ぐ狙いがある。

ETFが保有する暗号資産は、タイSECの規制下にあるカストディアン(資産保管機関)が管理する。カストディとは、投資家の資産を預かって安全に保管する業務のことだ。銀行の貸金庫に似た役割を担う。

機関投資家向けの緩和策

一方でタイSECは、投資信託と私募ファンドが国内の暗号資産ETFに投資することも認めた。既存の投資上限の範囲内で、機関投資家の資金が暗号資産ETFに流入する道が開かれる。

ただし個人投資家向けには、外国の暗号資産ETFへ間接的にアクセスできる商品(預託証券など)の提供は当初認められない。国内ETFが定着するまでの間、海外商品への迂回ルートは制限される形だ。

タイの暗号資産市場と今回の意義

タイの暗号資産市場と今回の意義

高い普及率を支える市場環境

Worldの調査によると、タイは暗号資産を保有する人の割合が人口の20%に達し、国別で最も高い水準にある。米国の13%を上回り、ナイジェリア、フィリピン、南アフリカの約19.4%もわずかに上回る。

この数字は、タイの一般消費者が暗号資産を身近な金融商品として受け入れていることを示す。銀行口座の普及率が高い一方で、若年層を中心に暗号資産への関心が高いことが背景にある。

これまでの規制からの転換点

これまでタイでは、外国の暗号資産ETFに投資できるのは機関投資家と富裕層に限られていた。一般の個人投資家は直接暗号資産を購入するか、海外の取引所を利用するしかなかった。

今回の規則改正で、国内証券取引所に上場するETFという選択肢が加わる。規制当局の監督下で取引でき、税制や送金の面でも国内商品ならではの利便性が期待できる。

資産運用会社に広がるビジネス機会

資産運用会社に広がるビジネス機会

運用体制の柔軟性

タイの資産運用会社は、暗号資産ETFの運用を認可されたデジタル資産ファンドマネージャーに外部委託できる。暗号資産の専門知識を持つ事業者と連携し、運用ノウハウを補うことを想定した制度設計だ。

規制されたデジタル資産カストディアンや適格な企業は、暗号資産ETFのファンド監督者として登録することも可能になる。資産の保管と監督を分離し、透明性を高める仕組みだ。

タイ市場の将来展望

タイSECは2025年、ETFの対象をビットコイン以外にも広げる計画を示していた。今回の規則はその計画を具体化したもので、まずビットコインとイーサリアムという2大銘柄から始まる。

国内ETFが軌道に乗れば、対象銘柄の拡大や、外国ETFへの間接アクセス商品の解禁といった次の段階に進む可能性がある。タイが東南アジアの暗号資産ハブとして存在感を高めるか、市場関係者の関心は高い。

この記事のポイント

  • タイSECが10月16日から国内ビットコイン・イーサリアムETFの設定を許可する
  • 投資家保護としてリスク確認の義務付け、融資禁止、規制下カストディアンの利用を導入
  • タイは人口の20%が暗号資産を保有し、米国を上回る普及率を誇る
  • 投資信託・私募ファンドも国内ETFへ投資可能になり、機関資金の流入が見込まれる
  • 当初対象はビットコインとイーサリアムのみで、今後の拡大余地がある
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