世界最大級のイーサリアム財務保有量を誇るBitmine Immersion Technologies(ビットマイン・イマージョン・テクノロジーズ)が、その蓄積ペースを劇的に加速させている。
2026年4月5日までの1週間で、同社は新たに71,252 ETHを追加で購入したことが明らかになった。これは2025年12月以来、最大規模の週間購入量となる。
同社のエグゼクティブ・チェアマンを務めるトム・リー氏は、現在の市場環境を「ミニ・クリプト・ウィンター(小規模な暗号資産の冬)」の最終段階と定義している。今回の大量購入は、反転攻勢を見据えた戦略的な動きといえるだろう。
約7万ETHの追加購入、加速するBitmineの蓄積戦略

Bitmineが今回実施した71,252 ETHの購入は、市場に大きなインパクトを与えている。同社の発表によると、これにより総保有量は480万3,000 ETHに達した。現在の市場価格で換算すると、約103億ドル(約1兆5,000億円)という巨額の資産価値に相当する。
1週間で約150億円規模の買い増し
Bitmineの購入ペースは、直近の4週間で一貫して上昇している。特に今回の約7万1,200 ETHという数字は、2025年12月22日の週に記録された98,800ドル台(正確には98,852 ETH)の購入以来、最も高い水準だ。
イーサリアムの価格が2,140ドル台で推移する中、これほどの大規模な買いを継続できる背景には、同社の強固な財務基盤と、イーサリアムの将来性に対する絶対的な自信がある。トム・リー氏は声明の中で、過去4週間にわたって買い増しのペースを維持してきたことを強調した。
供給量の5%獲得を目指す「巨大クジラ」の野心
今回の買い増しにより、Bitmineのイーサリアム保有シェアは、全流通供給量の約3.98%にまで上昇した。一つの企業が発行済トークンの約4%を握るというのは、暗号資産業界において極めて異例の事態である。
しかし、同社の野心はこれにとどまらない。Bitmineは以前から「全流通供給量の5%を蓄積する」という目標を公言している。目標達成まで残り約1%となっており、今後も数千億円規模の資金がイーサリアム市場に流入し続ける可能性が高い。
イーサリアムは「有事の資産」か、ゴールドを凌駕するパフォーマンス

トム・リー氏がイーサリアムを強気に評価する最大の理由は、その「避難先資産」としての特性にある。現在、イランを巡る地政学的な緊張が高まっているが、イーサリアムはこの状況下で際立った強さを見せている。
中東情勢下で見せた驚異的な騰落率
地政学的リスクが表面化してから約6週間が経過したが、イーサリアムはその期間に約6.8%の価格上昇を記録した。これは他の伝統的資産と比較しても驚くべき数字である。
具体的には、米国の主要株価指数であるS&P 500を1,130ベーシスポイント(11.3%)上回るパフォーマンスを見せている。世界経済の不透明感から株式市場が軟調に推移する中、イーサリアムは独自の価値保存手段として機能している側面がある。
伝統的資産との相関と「デジタル・ゴールド」としての側面
さらに驚くべきは、安全資産の代表格であるゴールド(金)との比較だ。イーサリアムの騰落率はゴールドを1,840ベーシスポイント(18.4%)も上回っている。トム・リー氏はこの結果を受け、「イーサリアムこそが戦時における価値の保存手段(Wartime store of value)であることを証明した」と指摘している。
一般的に、有事の際にはゴールドに資金が流れるのが歴史的なセオリーだった。しかし、デジタル化が進む現代においては、持ち運びが不要で、かつネットワークの有用性に裏打ちされたイーサリアムが、新たな安全資産の選択肢として浮上していることがわかる。
ステーキング市場を支配するBitmineの圧倒的存在感

Bitmineの戦略は、単にイーサリアムを保有するだけではない。保有する膨大な資産を「ステーキング」に回すことで、ネットワークの安定に寄与しつつ、巨額の報酬を得るビジネスモデルを確立している。
330万ETHを超えるステーキングの衝撃
Bitmineが現在ステーキングしているイーサリアムの総量は、3,334,637 ETHにのぼる。100の位を丸めて表現すれば、約333万ETHだ。これを当時の価格(約2,120ドル)で計算すると、約71億ドルの価値がロックされていることになる。
トム・リー氏は「Bitmineは世界中のどの事業体よりも多くのETHをステーキングしている」と述べている。これは、Lido(リド)のような分散型プロトコルを除けば、単一の企業としては世界最大のバリデーター(ネットワークの承認者)であることを意味する。
ネットワークのセキュリティと利回りへの影響
ステーキングとは、ネットワークの維持に貢献する対価として報酬を得る仕組みだ。Bitmineがこれほど大量のETHをロックしていることは、イーサリアムネットワークのセキュリティを強固にする一方で、市場の流動性にも影響を与える。
流通するはずのETHがステーキングによって固定されれば、市場に出回る供給量は減少する。需給がタイトになれば、わずかな買い注文でも価格が上昇しやすくなる「供給ショック」の土壌が整いつつあるといえるだろう。
独自分析、なぜ今イーサリアムを「全力買い」するのか

Bitmineがこのタイミングでアクセルを踏み込んだ理由について、いくつかの視点から分析してみたい。トム・リー氏が「ミニ・クリプト・ウィンターの最終段階」と呼ぶ背景には、マクロ経済と技術的マイルストーンの重なりがある。
「ミニ・クリプト・ウィンター」の終焉という見立て
2025年末から2026年初頭にかけて、暗号資産市場は一時的な停滞期にあった。しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策の転換期待や、機関投資家向けの金融商品の充実により、市場のセンチメントは改善に向かっている。
トム・リー氏は、この停滞期を「絶好の仕込み時」と判断したのだろう。価格が本格的な上昇トレンドに乗る前に、目標とする5%のシェアを確保しようとする焦りにも似た意欲が、今回の週間7万ETHという数字に表れている。
需給バランスのタイト化がもたらす将来の価格シナリオ
Bitmineのような巨大なプレーヤーが供給を吸収し続けることは、中長期的な価格の押し上げ要因となる。特に、イーサリアムは「バーン(焼却)」の仕組みにより、ネットワークの利用が増えるほど供給が減るデフレ資産としての側面も持つ。
現在の2,140ドル台という価格帯は、将来的に供給不足が深刻化した際、非常に安価なエントリーポイントだったと振り返られる可能性がある。Bitmineの行動は、単なる投資というよりも、次世代の分散型金融(DeFi)インフラにおける「支配権」の確立を目指しているようにも見える。
この記事のポイント
- Bitmineが1週間で71,252 ETHを購入し、総保有量は約480万ETHに達した。
- 現在の保有シェアはイーサリアム全供給量の約3.98%で、目標の5%に迫っている。
- トム・リー氏はイーサリアムを、ゴールドや株式を凌駕する「有事の価値保存手段」と評価している。
- 世界最大規模の333万ETHをステーキングしており、ネットワークへの影響力も絶大だ。
- 市場価格が2,140ドル台で推移する中、強気な蓄積を続ける姿勢は「強気相場」の再来を予感させる。

暗号資産とブロックチェーンの可能性を追求するエミリー。
暗号資産投資、DeFi、NFT、WEB3、メタバースといった最先端分野を深く理解し、「エミリーズ・クリプト・インサイダー」を運営。
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