トランプ氏宣伝のGOLDトークンがラグプル、17倍の利益

トランプ元大統領が宣伝したReal Trump Coinsブランドから発信されたGOLDトークンが、発表直後にラグプル(価格が暴落する事態)に見舞われた。ハッカーによる不正な宣伝だった可能性が指摘されており、トランプ関連の暗号事業に対する監視が一層強まっている。

この記事では、GOLDトークンで何が起きたのか、ハッキング疑惑の詳細、そして米国の暗号資産規制に与える影響までを整理する。

GOLDトークンがラグプル、17倍の利益を上げたウォレット

GOLDトークンがラグプル、17倍の利益を上げたウォレット

8月29日、Solanaチェーン上で発行されたGOLDというトークンが、突然の盛り上がりを見せた後に急落した。オンチェーン分析を手がけるLookonchainによると、特定のウォレットがこの混乱から約312,000ドル(約4,500万円)の利益を上げたという。これは初期投資のおよそ17倍にあたる。

ラグプルとは、開発者やプロモーターがトークンの価格をつり上げた後、保有するトークンを一斉に売却して資金を持ち逃げする行為だ。投資家は高値で買わされた後に価格が暴落し、大きな損失を被る。GOLDトークンでもこの典型的なパターンが確認されたと、複数のオンチェーン分析家が指摘している。

注目すべきは、このGOLDトークンが「Real Trump Coins」というブランドの公式Xアカウントから宣伝されていた点だ。Real Trump Coinsは、トランプ氏が2024年9月に銀のメダリオンを発表した際に「唯一の購入場所」として紹介したウェブサイトである。

Real Trump Coinsアカウントのハッキング疑惑

Real Trump Coinsアカウントのハッキング疑惑

GOLDトークンの宣伝投稿は、Real Trump CoinsのXアカウントに突如として現れ、その後すぐに削除された。この不自然な動きが、アカウントが第三者に乗っ取られたのではないかという憶測を呼んだ。

SolanaコミュニティのメンバーであるFabiano.solは、Real Trump CoinsのXアカウントがハッキングされたと主張している。また、オンチェーンアナリストのEmberCNはGOLDを「詐欺」と表現した。さらに、XユーザーのTITANは「偽トランプローンチ」の背後にイランのハッカーが関与しているという情報を共有している。

仮にハッキングが事実であれば、著名ブランドの公式アカウントが犯罪者に利用され、投資家が騙されたことになる。ソーシャルメディア上での情報発信が、暗号資産の価格に直結する時代における新たなリスクの形だ。

Real Trump Coinsのサイトには、同社の製品はトランプ・オーガニゼーションによって製造・販売されていないという免責事項が記載されている。しかし、トランプ氏本人が2024年9月にこのサイトを宣伝していた事実は、ブランドと大統領の結びつきを強く印象づけている。

トランプ関連暗号ベンチャーへの監視強化

トランプ関連暗号ベンチャーへの監視強化

今回のGOLD事件は、トランプ氏に関連する暗号資産事業への批判的な視線をさらに強めることになった。消費者団体Public Citizenは以前、トランプ氏が関わる暗号プロジェクトによって投資家が累計47億ドルの損失を被ったとする報告書を公表している。

トランプ氏とその家族はこれまでに、Official Trump(TRUMP)ミームコインや、分散型金融プロジェクトのWorld Liberty Financialなど、複数の暗号ベンチャーを立ち上げ、または支援してきた。大統領が暗号政策を形成する立場にある中で、これらの事業は利益相反の懸念を引き起こしている。ホワイトハウスは不正行為を否定している。

投資家保護の観点からは、著名人のブランドを利用したミームコインの宣伝が、十分な情報開示なしに行われることへの警鐘が鳴らされている。GOLDトークンのケースは、ブランドの信頼性がそのまま投資判断に直結する危うさを浮き彫りにした。

CLARITY Actと規制の行方

CLARITY Actと規制の行方

今回の事件は、米国の暗号資産規制をめぐる議論にも影響を与えそうだ。トランプ氏は8月19日、CLARITY Act(暗号資産の明確化法案)の「公正なバージョン」を可決するよう議会に求めた。この法案は、暗号資産の規制枠組みを確立し、トークンが証券に該当するのか、それとも商品に該当するのかを明確にすることを目的としている。

CLARITY Actが成立すれば、GOLDトークンのようなミームコインがどの規制当局の管轄下に入るのか、その境界線がはっきりする。証券と判断されれば証券取引委員会(SEC)の、商品と判断されれば商品先物取引委員会(CFTC)の監督下に置かれることになる。

しかし、ハッキングされたアカウントから発信された詐欺的なトークン宣伝は、規制の枠組みが整備されたとしても完全には防げない。法規制と技術的な対策、そして投資家自身のリテラシー向上を組み合わせた多層的な対応が必要になるだろう。

この記事のポイント

  • Real Trump CoinsのXアカウントから宣伝されたGOLDトークンがラグプルに陥った
  • 特定のウォレットが約312,000ドル(初期投資の約17倍)の利益を得たとLookonchainが分析
  • アカウントのハッキング疑惑が浮上、イランのハッカー関与説も出ている
  • トランプ関連の暗号事業への利益相反懸念が再燃している
  • CLARITY Actの成立可否が、ミームコインを含む暗号資産の規制境界を左右する
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