イギリスが暗号資産の認可申請を開始、期限は2027年2月末

イギリスで暗号資産企業を対象にした正式な認可申請の受け付けが始まった。申請期限は2027年2月末まで。その後、2027年10月に新しい規制枠組みが導入される予定だ。

金融行動監視機構(FCA)が9月30日、認可申請の窓口を開設した。これまで段階的に進められてきたイギリスの暗号資産規制が、いよいよ最終段階に入った形だ。暗号資産関連の事業をイギリスで継続したい企業にとって、今後5カ月間が正念場となる。

この記事では、申請の具体的なスケジュール、既存登録企業が持つ優位性、そしてイギリスがEUの規制と比べてどう位置づけられるのかを整理する。

FCAが認可申請の窓口を開設、期限は5カ月間

FCAが認可申請の窓口を開設、期限は5カ月間

FCAは水曜日、暗号資産企業向けの認可申請ゲートウェイを正式に開設した。このゲートウェイは、イギリスで暗号資産関連事業を行う企業が新しい規制の下で営業を続けるために通過しなければならない手続きだ。申請の締め切りは2027年2月末とされている。

つまり、企業に与えられた準備期間は実質5カ月間ということになる。新しい枠組みは2027年10月に導入されるため、その前に申請を済ませておく必要がある。FCAはプレスリリースで、この申請窓口を「認可ゲートウェイ」と呼び、対象企業に早期の対応を促している。

申請対象となるのは、暗号資産の交換、保管、送金など幅広いサービスを提供する企業だ。すでにFCAのマネーロンダリング対策(AML)登録を受けている企業も、改めて新制度に基づく認可を得る必要がある。

イギリスの規制はEUと比べてどう違うのか

イギリスの規制はEUと比べてどう違うのか

イギリスの暗号資産規制は、EUの包括規制であるMiCA(暗号資産市場規制)と比較すると導入が遅れていた。MiCAは2023年6月に発効し、段階的に適用が進んでいる。一方、イギリスでは2022年に初期の立法作業が始まってから、議会での審議や規則の整備に時間を要してきた。

2023年6月の時点では、イギリスの関連法がようやく国王の裁可を得て法律になった段階だった。MiCAがすでに発効していたのと比べると、規制の枠組みづくりには明確な遅れが見られた。

しかし2025年末から状況は動き始めた。FCAの新枠組みが2027年10月に発効すること、そしてその前に企業が申請するための期間が設けられることが発表された。今回の申請窓口開設は、その計画が予定通りに進んでいることを示すものだ。

既存登録企業は有利なのか

既存登録企業は有利なのか

FCAのマネーロンダリング対策レジーム(AMLレジーム)には、すでに60社以上が登録している。これらの企業は、新しい認可要件の一部をすでに満たしている可能性が高い。AML登録では顧客確認や取引監視などの体制整備が求められており、その延長線上で新規制にも対応できる部分が多いからだ。

AML登録は主に資金洗浄対策に焦点を当てた制度だが、新規制はより広範な分野をカバーする。とはいえ、基本的なコンプライアンス体制が整っている企業は、ゼロから準備を始める企業より有利な立場にあるといえる。

FCAの公開登録簿で確認できる60社超の企業が、どの程度まで新制度への準備を進めているのか。申請期限までの5カ月間で、その差が明確になっていくことになる。

Zumoが企業向けに規制トラッカーを公開

Zumoが企業向けに規制トラッカーを公開

既存登録企業の1つであるZumo(ズーモ)は、イギリスの暗号資産規制への対応を支援するツールを公開した。エディンバラに拠点を置くこの企業は、暗号資産インフラを提供するプラットフォームで、2021年にFCAの登録を取得している。

Zumoが開発した「UK Cryptoasset Regulation Tracker」は、新規制の下で企業が何をしなければならないのかをルールごとに整理し、規制のマイルストーンとタイムラインを可視化するものだ。同社の創業者兼CEOであるニック・ジョーンズ氏は、メールでの発表の中で「他にトラッカーを公開しているのは法律事務所やコンサルタントだ。我々は業界の事業者としてこれを開発している」と述べている。

さらにジョーンズ氏は「規制のルールを個々の義務のレベルまで読み込み、それぞれを該当する規制業務に紐付け、追加の文書が出るたびにマッピングを更新してきた」とコメント。事業者目線で実務に使える内容を目指したという。

こうした事業者発のツールが登場した背景には、規制対応の複雑さがある。新枠組みの対象となる企業は、ルールを理解するだけでも相当な作業量が必要になる。Zumoのツールは、そうした負担を軽減する試みの1つといえる。

申請期限が企業に与える影響

申請期限が企業に与える影響

5カ月という期間は、新規制に初めて対応する企業にとって十分とはいえない可能性がある。規制要件の把握、社内体制の整備、申請書類の作成、FCAとのコミュニケーションなど、やるべきことは多い。特に、これまでイギリスで正式な登録を受けていなかった企業は、短期間での対応を迫られる。

一方で、AML登録をすでに取得している企業にとっては、追加で求められる要件を確認する作業が中心になる。FCAも、既存登録企業が新制度にスムーズに移行できるよう、一定の配慮を示すことが予想される。

重要なのは、申請期限を過ぎた場合の扱いだ。2027年10月の新制度導入後、認可を得ていない企業はイギリスでの営業を継続できなくなる。対象企業は、期限から逆算して準備を進める必要がある。

イギリス市場の今後を見るポイント

イギリス市場の今後を見るポイント

イギリスは世界有数の金融市場を持ち、暗号資産関連企業にとっても重要な拠点の1つだ。新規制の導入は、市場の透明性を高め、機関投資家の参入を促す可能性がある。

一方で、規制が厳しすぎる場合、企業がイギリスを離れて規制の緩やかな地域に移るリスクもある。EUのMiCAが先行して導入されている中で、イギリスがどのようなバランスを取るのか。認可申請の動向が、今後の市場形成を左右することになる。

申請期限の2027年2月末までに何社が認可を取得できるのか。そして10月の新制度導入後に、イギリスの暗号資産市場がどう変化するのか。今後数カ月の動きが注目される。

この記事のポイント

  • FCAが2026年9月30日に暗号資産企業向けの認可申請窓口を開設した
  • 申請期限は2027年2月末、新規制は2027年10月に導入される
  • AML登録済みの60社以上は、新規制対応で一定の優位性を持つ
  • EUのMiCAと比べ導入は遅れたが、計画は予定通り進行中
  • 申請期限までの5カ月間が、イギリスで事業を継続したい企業にとって正念場となる
共有:

コメントする

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)