VanEckとGrayscaleがBNB ETFを修正申請、次世代アルトコインETF競争が最終段階へ

VanEckとGrayscaleが5月16日、BNB ETFに関する修正申請を相次いで米証券取引委員会(SEC)に提出した。これにより、米国市場で初のBNB現物ETF誕生をかけた競争が最終段階に入った可能性が高い。

ブルームバーグ・インテリジェンスのETFアナリストはこの動きを「BNBが次にSECの審査を通過する暗号資産になるかもしれない」と評価している。ビットコイン現物ETFに続く、アルトコインETF承認の第二波が現実味を帯びてきた。

BNB ETF競争でVanEckとGrayscaleが同時に前進

BNB ETF競争でVanEckとGrayscaleが同時に前進

5月16日に提出されたVanEckとGrayscaleの修正書類は、BNB現物ETFの実現に向けた取り組みが加速していることを示している。書類提出のタイミングが重なったのは偶然ではないようだ。

関係者によると、両社はSECからのフィードバックに対応しており、近い将来のローンチを目指して動いているという。暗号資産ETF市場で先行するビットコインやイーサリアムに続く第三の柱として、BNBへの期待が高まっている。

VanEckは5度目の修正、Nasdaq上場を目指す

VanEckが提出したのは、VanEck BNB ETFに関する5度目の修正申請(Amendment No. 5)だ。ティッカーシンボル「VBNB」でNasdaqに上場する計画である。同社は2025年5月に初回申請を行って以来、SECとの対話を重ねながら継続的に書類を更新してきた。

当初の申請にはステーキング(保有資産を預け入れて報酬を得る仕組み)機能が含まれていたが、米国でステーキング報酬を有価証券とみなす規制上の不確実性を踏まえ、昨年11月にその機能を申請から除外した。ただ現行の申請書類には、将来的なステーキング導入を示唆する条件付きの文言は残されている。

今回の修正では、VanEck BNB ETFがBNBを直接保有し、価格参照指数としてMarketVector BNB Indexを採用することが明記されている。Nasdaq Rule 5711(d)に基づくコモディティ型信託株式として申請されている点も変わらない。

Grayscaleは2度目の修正、GBNBで追随

Grayscaleも同日、Grayscale BNB ETFに関する2度目の修正申請を提出した。承認されれば、ティッカーシンボル「GBNB」としてやはりNasdaqに上場する見込みだ。同社は2025年1月に初回のForm S-1を申請し、4月に初回修正、今回が2度目の修正となる。

Grayscaleは既にビットコインとイーサリアムのETFを運用しており、暗号資産の機関投資家向け商品で長年の実績がある。裁判闘争を経てGBTC(ビットコイン投資信託)をETFに転換した経験もあり、SEC審査の難所を熟知している発行体といえる。

ブルームバーグ・インテリジェンスのETFアナリスト、James Seyffart氏はX(旧Twitter)への投稿で、両社の同時提出は「両者ともSECのフィードバックに応えている証拠であり、比較的近い時期のローンチを目指している可能性がある」と分析している。

実際に執筆時点でBNBは約657ドルで推移している。時価総額で見るとビットコイン、イーサリアム、テザーに次ぐ第4位の暗号資産であり、基礎となるBinanceエコシステムが現物ETFの需要を喚起する下地は十分にあるとみられている。

Canary Capitalのステーキング型TRX ETFが独自路線を推進

Canary Capitalのステーキング型TRX ETFが独自路線を推進

VanEckとGrayscaleがBNBでしのぎを削る一方、Canary Capitalは全く異なるアプローチでアルトコインETFの承認を狙っている。同社が5月16日に修正申請したCanary Staked TRX ETFは、ステーキング報酬をETF商品に組み込むという意欲的な設計だからだ。

ステーキングを「副次的目的」に正式格上げ

Canary Capitalが提出したAmendment No. 1では、ステーキング機能が信託の「副次的投資目的(secondary investment objective)」として正式に位置づけられた。これはBNB ETFの申請からステーキングが外された流れとは対照的だ。同社はTronネットワークのProof of Stake(プルーフ・オブ・ステーク)検証プロセスに参加することで、追加のTRX報酬を得るプログラムを運営するとしている。

Proof of Stakeとは、暗号資産の保有量に応じてネットワーク運営に参加し報酬を得る仕組みのことだ。銀行預金における利子のようなものと理解すればイメージしやすい。ETFにこの仕組みを組み込むことで、投資家は価格変動の値上がり益だけでなく、ステーキング利回りに相当するリターンも得られる可能性がある。

サービス提供体制が明らかに

今回の修正では、2025年4月の初回申請時には空欄だったサービス提供者(サービスプロバイダー)の詳細も明記された。譲渡代理人および管理業務はU.S. Bancorp Fund Services、現金保管はU.S. Bank、TRXそのものの保管はBitGoが担当する。CSC Delaware Trust Companyが引き続き受託者(Trustee)を務め、Canary Capital Group LLCがスポンサー(発起人)の立場を維持する。

ただし、上場取引所やティッカーシンボル、運用管理手数料は以前として未公表のままだ。執筆時点でTRXは約0.35ドルで取引されており、上位30位前後の時価総額を持つ。

暗号資産ETFの申請ラッシュはどこまで続くか

暗号資産ETFの申請ラッシュはどこまで続くか

BNBやTRXを超えて、暗号資産ETFの申請待ち行列はさらに拡大している。先週には21SharesのHyperliquid ETFがローンチされ、初日の出来高がアナリストの評価で「非常に堅調」と評されたばかりだ。競合のBitwiseも独自のBHYP ETFの取引を同じく5月16日にNYSEで開始している。

SECの審査姿勢に変化の兆し

ビットコイン現物ETFが2024年1月に承認されて以降、ETH ETFも含めた申請が相次いでいる。大量の修正申請が出続けている事実自体が、SECが「拒否」から「条件付き承認」へと姿勢をシフトしつつある証拠との見方がある。VanEckのBNB ETFが5度の修正を経てもなお提出を続けているのは、発行体側に「承認への道筋が見えている」からにほかならない。

ただ、ステーキング機能をめぐる規制の不透明感は残る。VanEckがBNB ETFからステーキングを外した判断は安全策だが、Canary Capitalがあえてステーキングを前面に押し出す戦略で申請しているのは、規制の境界線を探りたい意図があるのだろう。両者のどちらが先に承認を得られるかは、今後のアルトコインETFの設計に大きな影響を与える。

投資家が知っておくべきポイント

個人投資家にとって重要なのは、BNB ETFが承認されれば証券口座を通じてBNBに投資できるようになる点だ。現状、BNBを購入するには暗号資産取引所での口座開設や秘密鍵の管理が必要だが、ETFなら従来の株式と同じ感覚で保有できる。一方でステーキング報酬が除外されれば、取引所で直接保有した場合に得られる利回りは諦めることになる。

またTRX ETFは前例のないステーキング型商品となる可能性があり、承認されればステーキング報酬の法的取り扱いに一つの判例を提供することになる。両方とも、暗号資産投資の大衆化における重要なマイルストーンだ。

この記事のポイント

  • VanEckのBNB ETFは5度目の修正申請、Grayscaleも2度目の修正を同日に提出し、BNB ETF競争が最終段階に入った
  • BNB ETFにはステーキング機能は含まれず、将来的な導入を示唆する条件付きの文言があるのみ
  • Canary Capitalはあえてステーキング報酬を組み込んだTRX ETFを推進し、規制上の境界線を探っている
  • BNBが承認されれば、証券口座を通じたBNB投資が可能になり、暗号資産投資の間口が大きく広がる
共有:

コメントする

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)